5年後(リンク先は55秒から)
ちなみに母親が死んだのは震災の少し前のことだった。5年てのは、俺にとってはそんな期間なのだった。
さて、本日の朝、知り合いのD氏から連絡があり、出張で今関西にいるのだという。正確には昨夜に電話があったのだが、疲れ切っていたので早寝した上、電話にも気づかなかった。それで仕事終わりで合流すると、これから梅田で坂田明のライブに行くからお前も来いとのたまう。この人から名前をちょこちょこ聞くジャズの人だと記憶していたので、てっきり梅田のジャズバーで酒でも飲みながら、かと思ったら、場所は楽器屋(といっても軟弱な電気楽器ではなく高価な管楽器の店)が構える小ぶりな明るいホールで、楽器はクラリネットだった。
坂田明とまじめな仲間たち、という生活の党みたいなグループ名だが、坂田氏以外の「まじめ」な人々は、つまりは皆クラシック畑で、ナントカ音楽院首席卒業だとかナントカコンクール最優秀みたいな経歴の持ち主ばかりだった。対する坂田氏は大学の水産学科卒と経歴にあるからまじめではない。まじめだったら今ごろ養殖でもしている。MCも「そのうち終わります」とまじめでなく、笑った。
さてクラリネットといえば、昔親族が警察の音楽隊に所属していて結婚式のときに披露していたのを聞いたことがあるくらいだ。披露宴にはお約束のなかなかにぎこちない演奏で、会場が微妙な空気になる中、母親は隣でけらけらと笑っていたものだった。クソ真面目で面白味のない人だと高校生当時の俺は思っていたが、まさかこんなオフィシャルな場で毒っ気を炸裂させるとは。お陰で音色の記憶は全くない。
改めて極度にうまい人の演奏を聞く格好となったわけだが、うーむ、よくわからないがあまりピンと来なかったというのが正直な感想だった。音が好みではないような気もするし、耳が、律動がベースにある商業音楽に毒されているせいかもしれない。でも、坂田氏がサックスみたいにディストーションかけまくって吹いているのは染みたから、要するに自分も不真面目なのだろう。
D氏はこの面々とすっかり昵懇らしく、流れで俺も打ち上げに参加することとなった。適当な居酒屋を想像していたら、頑固ずしの座敷だったので若干場違いだと後悔した。およそ会う機会のない種類の人々なので、そういう人たちと話せる機会は貴重なはずだが、クラリネット談義に混じれるはずもなく、結局奏者のみなさんと唯一話が通じ合ったのは、ホールの人間にはなぜ一定量態度の偉そうな好かんヤツがいるのか、という話題だけだった。よりにもよって悪口かよ。ママ〜、アイジャストdisったざマン。まさにパッキャラマードな夜だった。
- 2016.03.11 Friday
- 音楽
- 22:42
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- by 森下淳士