あっさり終わった十月とダルビッシュの戦場

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     今季のMLBが早くも終了してしまった。半ば予想していたことだったが、レッドソックスが強すぎてドジャースは完敗。予想なり予感なりがちっとも覆されないのはつまらないものだ。どっちに転ぶか全くわからなかったワールドシリーズが何年か続いていただけに、あれは幸せなことだったのだと振り返ることしきり。102年前と同じく4−1の結果で、第3戦のみレッドソックスが敗北したのも同じだそうで。ちなみにワールドシリーズは、北米だけで開催していて何が「ワールド」なんだというお決まりの批判があるが、MLBの選手は現在20何か国から来ているそうなので、十分にワールドになっている。

     

     1戦目でカーショウが打たれるのは想定内として(直前のリーグ優勝決定戦第7戦で、最後に抑えで投げさせるという星野仙一罪容疑のせいだと思う)、2戦目は柳賢振(リュ・ヒョンジン)が思いのほか好投した。だが、途中ピンチを迎えた際、何度もタイムを取り、マウンドにも集まり、慎重に慎重を期して投げた結果が暴投(パスボール?)。世の会議のほとんどが無駄、というのは野球界にも当てはまるんだな。後をつないだマシソンが1個もストライクが入らず、これでゲームが壊れた。

     

     第3戦は意外にも投手戦。1−0のリードを守るため前倒しで投入した抑えのジャンセンが打たれて延長に。最長記録の18回まで行ったから丸々2試合やった格好。カーショウも代打で出るほどの総力戦となり、どうにかドジャースが勝利。

     

     同じころ日本では、広島×ソフトバンクが延長12回で引き分けとなっていた。かたや延長18回だから、ヌルいことやってるなあとつい思うわけだが、そろばん勘定からいくと、1試合で2試合分よりかは引き分けの方が儲かるから、こっちの方が賢いのかもね(ま、結局8戦目をやる必要なくこちらもアッサリ片付いたが)。

     

     そして同じころダルビッシュは、安田純平氏の件で自己責任教のテンプレツイッタラーと戦っているというよくわからない戦場にいたのだった。今季はひとつもいいところのなかった七色の変化球男であるが、テンプレ非難にはフォーシームストレートをひたすら投げ続けていた。それが来季復活の鍵なんじゃねえか?

     

     このダルビッシュの奮闘ぶりを青木理氏あたりもテレビで讃えていたが、かつてイラクで若人3人が人質になったときに比べると報道の論調はかなり慎重にはなっている。ただあのときは、新聞社の編集委員クラスの人間もテレビで自己責任論的な批判をしていたと記憶しているから、その辺の反省からしっかり振り返るべきなんではないかね。一方、情報番組レベルになると、両論併記的な伝え方になっていて、安田氏の記者会見でも謝罪的な話を詰め寄っていたのもいたようだが、ああいうのは「威張る元請け/堪える下請け」の構図とまんまカブるので見ていられない。
     ま1個だけ補足しておくと、日本が敗戦のとき、満洲なんかに残された残留日本人は、好きでいったのだから自業自得でしょ的な非難に苦しんできた。今でいう自己責任とピッタリ重なる。なので、この手の非難に淫する人にとっては切り捨てて安心できればいいだけなので、これは別に危険地帯の報道という特殊な立場に身を置く特殊な価値観の人の話ではなくて、仮に安田氏がどんだけツマラン人だったとしても、彼を責めるのは結局は自縛の紐でしょうよ。国民と国家の話なので。残留日本人と重なるのもそのせいなわけでしょ。

     

     閑話休題。延長18回をサヨナラで勝って意気上がるドジャースだが、4戦目で勝てる試合を落とした。これがデカかった。4−0から3ランで1点差に詰め寄られ、ジャンセン前倒し投入がまたもや裏目に出て同点弾を浴びて振り出しに戻る再放送状態。継投が悪い。前田を出せ前田を、と思ったら前田が前日とは別人のようにポコスカ打たれた。あれがなければ裏でヘルナンデスの本塁打で逆転サヨナラだったが、まあ監督の判断が敗因だね。

     

     第5戦は、その幻の?サヨナラ弾を放ったヘルナンデスを3番に置いたら好機でことごとくブレーキとなっていた。監督業はつらいよ。優勝の遠ざかる年月が着実に呪いの域に近付きつつあるが、負け方としてはまったく呪いは関係なさそう。
     過去にはバスケのレブロン・ジェームズが応援にきたインディアンズが負けて、今季はノーラン・ライアンとビジオ&バグウェルの大物OBが見に来ていたアストロズが敗れていたので、来季のドジャースはコービー・ブライアントとマジック・ジョンソン、ラソーダ元監督を全員出入り禁止にしたらどうかしら。マジック・ジョンソンはオーナーだけど。

     

     優勝したレッドソックスの監督がインタビューで「Congratulations!」と言っていたので、監督が「おめでとうございまーす」というのはもうこれ当たり前のことなんすね。知りませなんだ。


    リーグ優勝決定戦備忘録

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       ア・リーグの太空人隊×紅襪隊のAB対決は、ブラッドリーJrとベニンテンディのB2名の活躍で4−1で紅襪隊が勝利した。ブラッドリーは守備の人で打線は9番あたりなのが満塁弾を放ち、逆に上位を打つベニンテンディはシーソーゲームの第4戦で、太空人隊のMVP候補ブレグマンのあわやサヨナラ打を好捕で防いだ。どっからでもヒットが出るし、総じて守備が巧いから、そりゃまあ強いよね。

       にしても4−1は意外。スプリンガー、ひざ痛のアルトゥーベ、グリエル等々、結構打っていたはずだけど、セールが自滅した初戦以外落とした。接戦をものにできなかった格好。シーソーゲームを落としたのと、太空人隊の抑えが満塁弾を食らったのと、あと第5戦の先発がプライスだったので、当然太空人隊のABC打線が爆発して6戦目行きかと思いきや、ピシャリと抑えたのが大きかった。

       紅襪隊はエースのクリス・セールが胃炎で入院という意外な災厄に見舞われたが、5戦で終わったので助かった格好。クリス・セールは、クスリのセールベールを飲んで静養に努めてもらいたい。

       

       一方の釀酒人隊×道奇隊は7戦までもつれた。初戦でエースのカーショウが投手に本塁打を打たれたせい。何やってんだ。しかし、これでどうやってレギュラーシーズンで活躍したのだろうというくらい空気を切り続けていたベリンジャーの活躍で2−2のタイに戻したのが大きかった。素人目には酷いスイングにしか見えないのだけど。

       

       2度目のカーショウは見事だったが、2度目の柳賢振が打たれまくった。どうも安定しない。7戦目はたまにしか活躍しないプイーグが爆発して道奇隊が再度のワールドシリーズ進出を決めた。前田はシャンパンを浴びながら「ワールドシリーズに進出させてもらって」と、俺の嫌いなさせてもらう語を使っていたが、確かにこのシリーズの前田のぱっとしない出来からいうと、させてもらった感も漂う。ワールドシリーズでは活躍してもらいたい。

       

       あと隻眼の左投、MLBの土佐丸・犬神ことウリアスにも注目。今のところ前田同様、なんか危うい。手術で多少視力は戻ったそうなので、犬神というより白新・不知火かもしれない。にしてもドカベンは片目の投手が多くないか。
       釀酒人隊は、左投げのシンダーガードことヘイダーに尽きる。投手というより、打てない球を投げる人。だが、監督にヘイダーと心中する覚悟が足らなかったような。アーシア、ブラウン、ケインと太空人隊と同じ打線にABCが揃っていた側が負けた格好。イエリッチが完全に抑え込まれたのが痛かった。いつの間にか加入していたグランダーソンのポストシーズンもここで終了。

       

       台湾に行ったとき、スポーツニュースで「太空人隊」がどうのこうのという字幕が出ていたのを見て、多少時間がかかって「おおアストロズのことか」と印象深かったので、今回はこのような表記に。

       

       というわけで、ワールドシリーズはレッドソックス×ドジャースの、BB102年ぶり対決。結局3年ごしで王道の赤青シリーズになった。ボストンとロサンゼルスなので、アメリカ横断対角線シリーズでもある。寒暖差もひどい。おそらく本拠地が最も遠いのはマリナーズ×マーリンズの組合せだと思うが、どっちがどっちかわかりにくい方が目立つ。今のところちっともありえなさそうな組合せだが、もし実現の折はイチローは両チームとも出場(ずっと打ってるorずっと守ってる)という特別ルールで。

       

       2014-2015のロイヤルズ同様、前年に敗れたチームが雪辱を果たす展開でドジャースに期待したいところだが、これまでの戦いぶりを見ているとレッドソックスにまったく勝てそうにない。だが昨年のリーグ優勝決定戦は、ドジャースが4−1で勝ち上がり、アストロズが7戦までもつれたから、ちょうど今年は逆。勝機あり。


      ABC打線とBBBB打線とKKコンビ

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        フェンウェイパーク県立野球場。グリーンモンスターこと芝生土手の外野席もあるよ。

         

         割と一方的展開で地区シリーズが終わった。
         ナ・リーグのブリュワーズ対ロッキーズのBC対決は3タテでBの勝ち。ロッキーズは下山すると貧打になるのかと思ったが、コロラドに戻っても変わらなかった。呉昇桓のポストシーズンも幕を閉じた。しかしブリュワーズはなぜシャンパンファイトなのだろう。ビールの町なのだからビールかけじゃないのか。


         ブレーブスとドジャースのAB対決は、ブレーブスが1勝したものの昔Bことドジャースが横綱相撲で勝利。ヤンキースが獲るんじゃないかと前に書いて実際にはドジャース入りしたマチャードが、ようやく活躍し出した。同じくようやく出番が来た前田は若干危なかったが0に抑えた。

         

         ア・リーグは、アストロズがインディアンスを3タテで下して難なく勝利。アルトゥーベ、ブレグマン、コレアと、ABCが揃った強力打線は好調の様子。インディアンスは昨年同様、クルーバー、ミラーが打たれたのでどうしようもない。ミラーは乱調もいいとこで全く見る影なかった。ウォームアップで外野手のように助走投げをするドローン男バウアーが一人頑張っていたが最後に力尽きた。

         

         レッドソックス対ヤンキースは、1勝1敗のタイになったところでやはりこのカードはもつれると思ったが、第3戦はコールド勝ちしそうな得点差でレッドソックスが圧勝。ヤンキースは最後にキャッチャーに投げさせる体たらくだった。レギュラーシーズンで野手が登板するのは珍しくないが、ポストシーズンでこれは初めてじゃないかと思ったら2度目とのこと。で、この野手投手を相手にホルトが本塁打を打ってサイクル安打を達成していた。こちらはいくらでもありそうなところポストシーズンでは初めての記録だとか。なんとなくゲタを履かせてもらっての達成のようにも見えるが、まあそれくらいじゃないとポストシーズンでサイクルを打つのは難しいということか。

         

         第4戦は、9回にキンブレルが四死球連発でヤンキースに1点差まで詰め寄られ、さらにきわどいタイミングのアウトにチャレンジのおまけがついた。結果的に判定変わらずアウトで試合終了だったが、もしセーフだったら緊張感を元に戻すのが大変だろうから多分負けてたな。一塁手は股関節の柔軟性が必須だと再確認。

         かつてのレッドソックスだったら死球推し出しの時点で負けのダークサイドに陥っていたように思うが、すっかりメンタルが常勝チームになったね。なにせベッツ、ベニンテンディ、ボガーツ、ブラッドリーJrのBだらけ打線なわけだが、かつて「呪い」を言われていたときは、劇的敗北にBの選手が必ず絡んでいたものだ。時代も変わった。ちなみにヤンキースのブーン監督は、かつての呪いのBのうちの1人だったが賞味期限は切れていた模様。ま、やはりABC対決にNYYはおよびでなかったのさ。スマンね田中さん。

         

         というわけで、ナ・リーグのBB対決は、2年連続ワールドシリーズ進出を狙うドジャースと新参者のブリュワーズとの新旧対決でもある。マエケン―KジャンセンのKKコンビ(もしくはケンケンコンビ)の出来次第か。

         

         ア・リーグは、昨年の地区シリーズと同じ顔合わせで、アストロズとレッドソックスのAB対決。強力ABC打線と、BBBB打線の対決でもある。ないしはアストロズ・マルドナードとレッドソックス・キンズラーの「ともに今季のはじめに大谷さんにサイレントトリートメントしたもんね」同士の対決でもある。2人ともエンジェルズを出て得したね。

         

         ワールドシリーズは、ドジャース×アストロズの2年連続対決か、ドジャース×レッドソックスの伝統チーム同士だけど102年ぶり対決(おもにレッドソックスのせい)か、それともブリュワーズ×アストロズの「お互いMLBの都合でア・リーグ⇔ナ・リーグ変更させられた悲しきエトランジェ」同士対決か。いずれも捨てがたいが、ブリュワーズ×レッドソックスの枕詞を何も思いつかない対決の可能性も十分ある。


        海の向こうのABC対決

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           先週の話。
           出張で福山に行き、授業が終わると学生が「まだ試合終わってないよな」と友人と語らい合いながら急いで教室を出て行った。そうか今日勝てば胴上げか。駅前のホテルに移動し、チェックインして・・・、と少々手間取って、ようやく夕飯を食おうと駅に向かったら、ユニホーム姿の人々が20人ほど集合していた。どういうわけか静かにたたずんでいて、おや今日はまたお預けか?と思いつつ、新聞を配っていたので号外かと思って受け取ったら日蓮大聖人的な機関紙だった。牽制球かよと安易な駄洒落を心中つぶやく。

           

           その辺の適当なラーメン屋にはいったら、とうに胴上げが終わった様子が中継されていた。何だ優勝してるじゃないか。なぜに静か?サイレントトリートメント?

           

           営業担当の人から電話があり「今日はお疲れ様でした。是非あの店行ってください」と、以前にご一緒したスナックを猛烈に勧めてくる。外交辞令で言っているのかと思ったが、どうやら本気だった。

           そこまで気を遣われてソデにするのも失礼かとぶらぶら歩いて向かった。スナック街は駅前の繁華街から少々離れている。一度タクシーで連れて行かれただけで場所もよく覚えていなかったが、たどり着いたから大したもんだ。先客とちょうど入れ替わる格好になり、客が俺だけ。「優勝したのに静かですね」と店主が言う。厚意に甘えてボトルを空けた。と書くと豪快だけど、単に残り少なかっただけ。

           

           ほろ酔いで駅前に戻ったら、酔客が「おめでとーございまーす」とすれ違うユニホーム姿といちいちハイタッチしている。監督の口癖(?)が定着しているのだろうか。特にファンでもないのでよく知らない。今度はようやく地元紙が号外を配っていた。ま、福山だと騒ぎもおとなしいものだが、何かと備前と安芸との対立をご当地ネタ的に聞かされてきたので、なんだちゃんとカープファンがいるやんと思いつつ、人口に比して少ないのだろうかと思いつつ。

           よくよく考えると、優勝の晩に街中にいたというのが初めてだったと思い当たり、なんとなく書き留めた次第。

           

           ところで大体同じころ、マエケンは海の向こうで逆転2ランを浴びてセーブに失敗していた。ドジャースは今季、かなり苦しい戦いだったのが、最後に昨季ワールドシリーズ最終戦まで行った底力を示してナ・リーグ西地区首位に立ったはずが、最後の最後でもたついた。

           中地区はずっと混戦で、大型補強で本命視されていたブリュワーズ、なんだかんだでしれっと強いカブス、マイコラスの意外な活躍で復調してきたカージナルス、ついでにパイレーツも、5チーム中、4者もみ合い。唯一、勝率が5割なかった負け越しチームがレッズなのだが、広島カープのCマークのパクリ元が一人負けの逆広島状態というのが何とも皮肉で、あな悲しや。来期はシンシナティ・カープ、広島東洋レッズに交代したらどうか。中地区はさらに、セ・リーグは久々に激戦になるんじゃない。ウィンウィンだ。

           

           それで西・中地区とも、2チームが同成績になる前代未聞の事態になったので、この4チームが地区優勝を決するために居残り試合を1試合課される羽目に。一発勝負で負けた方が、一発勝負のワイルドカード行きになる。結果、ドジャースとブリュワーズがそれぞれ大勝して地区優勝。負けたカブスとロッキーズがワイルドカード行きとなった。

           

           こうしてようやくポストシーズンの櫓が組まれたわけだが、今季はABC対決だな。
           ナ・リーグ東地区は急に強くなって昨年までの常勝チームだったナショナルズをぶっちぎって、アトランタ・ブレーブスが早々に優勝を決めた。帽子のマークはAである。
           中地区は、帽子のマークがCのカブスが本命だったが、ブリュワーズが勝った。ミルウォーキーなのでマークはM(たまにグラブのイラスト)だが、ブリュワーズなので見なしBである。
           西地区はLAドジャーズで、前身はブルックリン・ドジャーズで帽子は「B」だった。まるでイスタンブールをわざわざビザンチウムと読ませることで成立するドイツ帝国の3B政策のようだ。みなしBだが、すでにブリュワーズがいるので、LAのAでも、何ならもうDでもいいや。
           ワイルドカードは、正統Cのカブスと、マークがCRのコロラド・ロッキーズ。C対決。

           

           ア・リーグ東地区は、Bの王道ボストン・レッドソックスが球団記録の108勝で優勝。
           中地区は、ヘルメットだけCマークのクリーブランド・インディアンス。
           西地区は、アストロズ。ヒューストンにつきマークはHだが、アストロズなのでみなしA。
           ワイルドカードは、アスレチックスとヤンキース。アスレチックスはマークがA'sなのでAでよろしい。略称も「Aズ」だから、王道のAといってもいい。NYYことヤンキースは、今季のABC対決には全くお呼びではない。

           大谷のエンジェルスこそマークがA、かつ天使の輪っかつきでありがたいのであるが、2つ負け越した。アストロズの一人勝ちかと思われた地区で、アスレチックスとマリナーズが意外に健闘して王者を苦しめた中、シーズン序盤以外出る幕はなかった。手術成功の由。お大事に。

           

           そして早速ワイルドカードが開幕。追加の1試合でそれぞれ大負けしたカブスとロッキーズの対決だけに、どっちもちっとも点が入らず、日本対ポーランドのような湿気た展開だった。息詰まる投手戦というよりどっちも打線が湿って点が取れずに延長戦。盛り上がりを欠いたままロッキーズが勝った。王道Cが脱落し、RつきのCが残った。ロッキーズにはいつの間にか呉昇桓が加入していて、ポストシーズンおめでとさん。同じくいつの間にかカブスに移籍していた「途中まで優勝請負人」(所属したチームがポストシーズンには出る)マーフィの御利益はなかったようだ。

           

           アメリカン・リーグのワイルドカードは、やはりAでもBでもCでもないNYYの勝ち。せっかく綺麗に揃いそうなところ、およびじゃないって言ってるのに。短期決戦に弱いと言われ続けているアスレチックスは、一発勝負は余計ダメだ。経験豊富なNYYには勝てんわなあ。大体ヤンキースは、ワイルドカードとはいえ、100勝超えてるから普通なら地区優勝している。

           

           ワールドシリーズは、アトランタ対ボストンのAB対決が一番綺麗な気がするが、ABC対決が崩れてしまったので、崩したヤンキースが勝つのかも。ブリュワーズ対ヤンキースだと、今季マーリンズから大放出された選手同士の対決になる。うーん、それだったら昨年と同カードでドジャースがアストロズに雪辱を果たす方が楽しいな。ダルがいないから今度は勝てるんじゃないか。

           

           ところで、イエリッチとスタントンの供給元となるチーム解体を行い「今年は負けるのが仕事」とまで言われたマーリンズは、ナ・リーグ最多黒星は達成したものの、ア・リーグに100敗以上が3チームも出た。中でもオリオールズは115敗の大爆死。首位と61ゲーム差。勝率.290。って打率やん。両リーグ合わせて弱かった順にドラフトの指名権が割り振られるので、負けることにも少々意味があるのだが、マーリンズは5番目。タイガースと同率だったが、前年はマーリンズが大きく上回っているので指名順は後になるとか。やや中途半端な結果に終わったなあ。


          MLB2018

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             先日、知人から久しぶりに電話がかかってきて、生きていく希望を自らどうにか作り出さないと潰れてしまいそうだとか何とか、中年の危機を話していた。「お前はどうよ」と言われ、さて最近希望に満ちたことって何かあるかしらと考え、「大谷の打席ですかね」と答えたら、「お前もお前で重症だな」と言われた。


             だけど、「マンガでも没になる」と評されるほどの鮮烈デビューを飾った大谷は、その記録というよりは、体の柔らかさを活かしたしなやかなバッティングが見ていて楽しい。アルトゥーベ、ベッツあたりに次ぐ魅力的な打者だ。誰かに似ていると思って見ていたのだが、一球さんもしくはスラッガー藤娘だな、と気付いた。どっちも右打者だけど、例によって水島大先生であるから、野球といえばそれしか知らないのかという話である。下馬評の低かったエンジェルスがアストロズに伍しているのも、彼の存在が大きいだろう。是非ワイルドカードに進んでもらうと、一発勝負を投手か打者がどっちで?という話でしばらく持つと思う。

             

             エンジェルスのいるア・リーグ西地区は、昨季優勝のアストロズが盤石。立憲制の国王のような存在にイチローを収めて「若手を使え」の批判を抑え込んだマリナーズが追撃している。

             中地区は低調な滑り出しだったインディアンズが首位に浮上。なにせ呪いの元凶たるお馴染みのロゴマークを廃止すると表明したので、いよいよ呪いが解かれるのか、実際に廃止される来季以降になるのか、いずれにせよ近年はポストシーズンで奮闘したチームが優勝するのがパターンであるから一番の注目チームといえよう。

             東地区はレギュラーシーズンは勝っているのにポストシーズンで負けたからと、ちょっとかわいそうな格好で監督の首を挿げ替えたレッドソックスが好調。余計に前監督がかわいそうな気もしないでもないが、ハリルホジッチ首→その後、の惨状に比べれば何の問題もない。台湾の林がこの隙のないチームでどれほど活躍できるか注目。

             同じく監督が若手に交代したヤンキースは、マーリンズのオーナーに就任し、その実ヤンキースの回し者疑惑があるジーターからスタントンを仕入れ、マリス&マントル以来およそ半世紀ぶりの王者っぽい打線を擁している。しかし、優勝が至上命題的なチームがちっとも優勝できていない状況が続いているのに、ここのGMは20年くらい続投し続けているのは何でなんかね。過去のヤンキースであれば、オリオールズからマチャードを引き抜いて節操のない強力打線の上乗せをやりそうだが。いつの間にかブルージェイズにオ・スンファン(呉昇桓)が加入していた。

             

             ナ・リーグは、西地区の本命ドジャースが怪我人続出で出遅れ。カーショウ、ターナーを欠くと激弱になる点、現代野球とはとても思えない古典ぶりが魅力である。やはりこの2人がチームの核か。ヒルもリュもDL入りで前田に期待が集中するある意味燃える状況だが、彼もお尻の辺りが痛そうで不安が残る(その後DL入り。先発全員故障でYuを呼び戻すしかないと思ったら彼もDL。松坂でも獲るか)。ダイヤモンドバックスは主砲をレッドソックスに放出したが、両チームとも強くなったからなんと気持ちの良い取引か。ロッキーズも着実に力をつけ混戦模様。一方、偶数の年なのにジャイアンツは下位に沈んでいる。そんな中、かつての名捕手イバン・ロドリゲスの息子、デレック・ロドリゲスがデビュー。ただし投手である。まるでバンド解散後に、ドラムからギター&ボーカルに鞍替えしたデイブ・グロールのようであるが、このデレックもデイブ同様見事な長髪だ。というかジャイアンツは長髪でないといけない規定でもあるのか。

             

             中地区は下馬評が高いブリュワーズが強いが、ポストシーズンの常連だったカージナルスも復調の兆し。低迷とみせかけいつのまにか上位に食い込むカブスのしたたかさも定番化している。大谷の登場で徐庶のように存在が薄くなってしまったYuの快投が望まれる。
             東地区は監督を代えたチームが多い。このうち優勝が指定席化しているナショナルズは相変わらず強く、あやうく100敗が何年か続いたフィリーズも急に強くなり、一方メッツは低迷。監督を代えていないブレーブスがまさかの好調で、赤3チームの混戦模様である。ハーパーがいるうちに優勝したいナショナルズだが、少なくともワールドシリーズ出場をそろそろ決めたいところ。一方、ジーター、マッティングリーのヤンキースコンビが支配するマーリンズは、まるで巨人の天下り先たるかつての横浜であるが、かつての横浜同様、独自の勝率を堅調に維持している。最弱チームは翌年のドラフトで1位指名の権利がもらえるため、今季は負けるのが任務との評もあるが、それは八百長ではないのか。ブラックソックス事件ならぬ、クロカワカジキ事件也。


            決着2017

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               史上最多の本塁打が飛び交うシリーズは、どちらが勝つかさっぱりわからない死闘が続いた。特に第5戦は、前田が痛恨のスリーランで同点に追いつかれたことが霞んでしまうくらい両チームの投手みんな打たれまくった。シーソーゲームが過ぎて飽きてくる感すらあり、そもそも投手は打者をどうやっておさえてたんだっけ?と混乱すらしてしまった。

               

               ところが第6戦はバーランダーとヒルの息詰まる投手戦。前の試合であれだけ打ってた連中は、今度は打ち方を忘れたかのごとくであった。で、見事ドジャースが3−3のタイに持ち込み、昨年同様第7戦へともつれ込んだ。
               その素晴らしいシリーズも、最後の最後で大して面白くない凡戦になろうとは。ドジャース打線だけが打ち方を忘れたまま、ランナーは出すが特に策なく残塁という場面が続いて緊張も高揚も乏しかった。「ハリケーン被害を乗り越えアストロズが初優勝」というわかりやすい見出しも、なんだか尻すぼみに感じてしまった。

               

               得点の合計は両チームとも34点で、これまた昨年同様、同点だった。去年のシリーズは、途中に退屈な試合を挟みつつ、第7戦が劇的な接戦だったので結果よければで大いに感動したものだったが、今年はその並びが違ってしまったということか。2戦目や5戦目が最終戦にくれば、大いに満足しただろうから、贅沢はいうまい。

               

               さてナイツの漫才風にいえば、終わった後であのときああすればとかこの選手を使えばとか言うたところで仕方がないあんなものダルビッシュ一人のせいで負けたんだから、といったところである。彼が一度ならともかく、二度もあんな無様な結果に終わるとは。グリエルにブーイングしていたファンがダルビッシュにもブーイングを浴びせていたから、あちらのファンはシンプルである。こういう場面で投げることを想定して、「メジャーリーグに行きたいのではなく行かなければならない」と渡米前の記者会見で言ったのだろうから、その通りといえばその通りの厳しい場面になったし、だから野次の一つも飛ばしたくなる。

               

               まあ好調アストロズ打線は、どこで本塁打が出ても何の不思議もなかったから、個人的にはダルビッシュよりもドジャースの上位陣にストレスがたまった。何かをやりそうな男ターナーは、二連続死球くらいしか何かをやっていなかった(というより「やられる」だが)し、復調を騒がれたベリンジャーも元の木阿弥だった。ギリギリで怪我から復帰したシーガーも、活躍していないことはないが全体的には不発で、ロバーツ監督は投手交代は忙しいものの、打順はあんまりいじらなかった。シーガー不在のリーグ優勝決定戦までは、ころころ先発を入れ替えてことごとく正解する名采配を見せていたから、敗因は打順を固定してしまったことか。それでもシリーズ全体では同点なのだから、不思議である。

               

               日本シリーズは、ホークスがスウィープをくらわすのかと思ったら、横浜が粘っている。1位のチームなんだから、3位のチームなんぞ片手でひねって済ませてしまえと思いたいが、そこはプロ同士というところか。1位同士の対戦でないとどうも素直に見れないから困る。日米とも、今年もプロ野球の季節が終わる。


              くくるはたこ焼き以外危うい

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                 ゴンザレス要警戒どころか、Yuは総じてボコボコに打たれてしまった。そして違う意味でグリエルが要警戒、というか要警告になった。

                 

                 グリエルがダルから本塁打を放った後、アジア人を蔑む目じりを左右に引っ張るパフォーマンスをして問題になった。こちら側からすると、ピンとこない人もいるのではないかと想像する。ダルビッシュは父親がイラン出身なこともあり、顔つきは平均的な日本人よりずいぶん目鼻立ちがキリっとしている。一方グリエルはキューバ出身であるが、おめーの方が目が細いじゃねえかという顔つきで、何だかこんがらがってしまう。

                 

                 でもそういう個別性を無視したところで存在しているのがそもそも差別偏見の類である。というわかりやすいケースだと思う。ハゲている男性に「このハゲー!」と罵るのは侮辱行為であるが、ときにハゲていない男性に対しても「このハゲ!」とか「あのハゲ野郎」とか罵倒する場面を見かける。これと構造はちょっと似ている。ダルビッシュ個人の顔つきはここではあまり関係なく、「アジア系」という固定化した枠組みを当てはめる。だからこそやる側には「やっちまえー」というような扇動的行為として意味を持つし、社会的には差別行為に認定される。仮に本塁打のあと「どうだみたか」とダルビッシュのリアルな顔まねをしてみせたら(想像しにくいが)、その場合はただのモノマネで、せいぜい挑発行為にとどまるだろう。無論、スポーツマンとしては下品で褒められた行為ではない。

                 

                 そうしてまた本邦においては、ダルビッシュは日本人離れした顔をしていると思われているから二重にややこしい。その上出自をあげつらう差別も受けている。差別をする側される側双方ともが、グリエルにとっては一括りに「目細野郎」となっており、何と滑稽で馬鹿馬鹿しいことか。

                 ダルビッシュが騒動に対して大人の対応を見せたのは、これまでに大小さまざまな嫌な目に遭ってうんざり飽きているからと推察される。その点、頭が下がるところではあるのだが、ダルビッシュを讃えるだけの話でまとまってしまうと、社会にとっては損得でいえば損になると思う。讃える前に、これは海の向こうの話でも己に無縁の話でもないと思うところから始めようや。やらかすという点でもやらかせられるという点でもさ。そうでないと、怒るべき場面に出くわしたときに、私もあんたも怒れなくなってしまうよ。


                左手右手の会議

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                   例年この時期のドラフト会議のテレビ中継がすっかり楽しみになってしまい今年も録画して見た。野球選手の将来がかかった非常に重大な「会議」で、今年のように注目の選手がいると外野の我々もその選手がどこに行くのか気になるという点でも十分にニュースバリューはある。のであるが、外形的にはおっさんがくじ引きしているだけである。これは「会議」なのか?という点からして何だかおもしろいわけだが、感じたことが大きく2つあった。

                   

                   前にも書いたが、どの球団が誰を指名したのかという根本の情報以外に実況することもあまりないので、右手で取ったとか左でだとか、どうでもいいことをさも重大事のことのように言うのもすっかり楽しみになってしまっている。「お!今年は左で行きました!」と実況が声を張ることからもわかるように、手元にはそういうことを記した資料があるのだろう。意味がないものも継続すると意味が出てくる(現に「また言うてる」と見ている俺が笑っている)。新しい価値の想像という広告屋の得意な手法である。中身はちっともないという点も含め。マルセル・デュシャンの問いかけに対し、後世の人間は「便器」以上のものを探し出すことにいそしむことを選択したといえよう。と、結論づけてから思い返してみると、自分がくじ引きを引くときに、利き手以外で引いたことがない。今度機会があれば左で引いてみようと思う。

                   

                   清宮を引き当てたのは日ハムで、くじを引いたのは初参戦の木田だった。その新参者が「強者揃いの中で見事!」と実況が興奮していたのだが、くじに「強者」なんてものがあるのか。文脈としては、周りはそれぞれ過去に競合に勝った経験があるから人が居並んでいたから、ということだが、「この方も過去に誰それを引き当てた経験があります」と、過去にさかのぼればそりゃ各自あるでしょうよ。真相は、いつも困ったような顔に見える木田の外見にくじ運が想像しにくいからではないかと邪推している。一方で、ぎょろ目が爛々としたソフトバンクの工藤監督はいかにもくじに強そうで、実際過去2年は見事勝利している。やっぱりこういうやんちゃくれみたいな人はツキもあるんだなあと妙に納得させられてしまうところがあるのが、今年は3回も外していた。こうして帳尻が合うんだな。確率論の正しさを思い知らされた。

                   

                   「大きく2つ」と書いたが、以上が1つめの話で、2つめは解説者についてだ。槇原と、早稲田の元監督という人が実況アナウンサーに同席していたのは、プロ代表とアマ代表という人選だろう。槇原はテレビ慣れしているが、早稲田の人はそうでもないから、「こうなったらもう12球団清宮(指名)でもいい」など何の問いかけにもなっていないことを口走っており、ほとんどテレビと会話している一般視聴者のごとくだった。アマの立場として指名を待つ側の話を語ればいいと思うのだが、気の利かない実況アナがほったらかしで、ちょっとかわいそうに思った。アナウンサー(もしくは制作サイド)も所詮くじの行く末にしか興味がないんだろう。その元監督氏が、「早稲田に来てほしかった」とボソっと言ったのだけが印象的だった。

                   

                   蛇足だが、阪神ファンはやはりうるさい。金本が2回外して「また〜?!」と悲鳴を上げていたが、それは酷というものだろう。去年の指名の時点で「え〜?」と言われたのよりはマシだろうが、しかし、くじ運が大きく左右する行為だからその時々で局面が変わることだとはいえ、長距離砲を二度外して3度目は投手に鞍替えというのも素人目にはどういう方針なんだろうとは思ってしまう。それで翌日の報道を見ると、「広島は現在の戦力や年次を踏まえて何年も先を見据えて指名選手を選んでいる(から清宮を指名しなかった)」というネットの記事が出ていて、むしろ他の球団は考えてないのかよと思った。

                   

                   さて海の向こうでは北米2ヵ国だけでワールドを名乗る中華思想世界大会が幕を開けている。第1戦は息詰まる投手戦の中、ターナーの本塁打でドジャースが勝利。第2戦も似たような展開でドジャースが勝つと思わせて、抑えのジャンセンが同点弾を浴びて延長になり、引き離しては追いつくの盛り上がる展開で最終的に7−6でアストロズが勝った。得点のほとんどが本塁打という、ひと昔前の巨人対巨人のような試合であった。土壇場で貴重な同点弾を放ったアストロズのゴンザレスは、以前にダルビッシュが完全試合まであとアウト1つになったときにヒットを打ってご破算にしたことがある。アルトゥーベ、コレアの陰に隠れてあんまり目立たないが、このミスター土俵際には要警戒である。


                  縞有無寒暖対決の結果

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                     リーグ優勝決定戦は、両リーグとも縦じま×プレーンの対決となったが、どちらも縞なしプレーンが勝利した。

                     

                     ア・リーグは、縦じまヤンキース対縞なしアストロズ。アストロズの昔のユニホームは横じまみたいなデザインだったので縦横対決でもある。第2戦で1塁走者アルトゥーベがヒットで一気にホームまで生還してサヨナラ勝ちした。外野手が後ろに逸らしたわけでもないので、タイミングは完全にアウトだったが、タイミングだけでは捕殺できないのだとよくわかるバックホームだった。これで一気にアストロズが畳みかけるのかと思ったが、ニューヨークに移ると途端に全員貧打になるわ投壊するわで3連敗。多分寒さのせいだろう。ヒューストンとニューヨークでは、鹿児島と函館くらい緯度が違う。実は今年は両リーグとも、寒暖対決でもある。田中はようやくカイクルに投げ勝った。
                     王手をかけられヒューストンに戻ると、再びアストロズ打線が爆発。気候のせいか、それとも両軍ともに内弁慶なのか。最後は目つきが尋常でなく怖い男バードを凡打に打ち取り、アストロズがヤンキースを振り切った。田中には悪いが、今年はアストロズの年であったから、これでよい。

                     

                     アストロズはこれで、2005年以来のリーグ優勝であるが、前回はナ・リーグでの優勝であった。いつの間にかしれっとア・リーグに移されて、それであんまり波風も立たないのがこのチームの位置づけを表しているのだが、おかげで両リーグでの優勝チームは初。前回は、クレメンス、ペティットのヤンキース移籍組の両先発の活躍が大きかったが、今回もヤンキースから移籍したマッキャンの活躍が光った。ヤンキースを出た選手は禁止されていたヒゲを伸ばすのがお約束だが、マッキャンの場合は松平健の武田信玄を彷彿させる。

                     

                     ナ・リーグの寒暖対決は、4−1でドジャースが危なげなく勝利し、こちらは気温差(というかこちらもア・リーグ同様季節差のレベル)を全く感じさせなかった。カブスの連覇はついえた。
                     ドジャースは、第2戦でサヨナラ本塁打を放った「青チームの赤ひげ」ターナーのフルスイングが見ものである。中村紀洋を思い出す豪快さなのだが、メジャーではバットを放り投げると報復死球を受けるので(新庄で実証済み)、ブンブン降ってもバットは投げない。書いている途中で思い出したが、中村もちょびっとだけドジャースで出場している。ちょびっとなので、あちらでもバットを投げていたかどうか記憶にない。

                     

                     結果、ワールドシリーズは、縞なし暖暖対決となった。100勝したチーム同士の戦いというのも、なかなか見れるものではない。アストロズが前回出場したときは、井口擁するホワイトソックスにあっさり負けたので、ダル、前田を擁するドジャースが有利か。
                     アストロズは中継ぎ以降の投手陣に不安がある一方、ドジャースはK前田とKジャンセンのKKコンビが安定している。加えてドジャース打撃陣は、日替わりでヒーローが登場する点が強い。流石北米一の金満球団は層が熱いというところだが、ころころ先発選手を変えて結果を出す監督の手腕が大きいといえる。対するアストロズの監督は、割と動かざること山のごとし。

                     

                     以上を総合するとドジャースに分がある印象だが、かつてワールドシリーズで、「青木がいない方」が優勝したことが続いたので(青木がいるロイヤルズ対ジャイアンツでジャイアンツが勝ち、翌年青木を放出したロイヤルズが優勝した)、青木を放出したアストロズには逆呪いがあるのかもしれない。

                     

                     さて日本でもポストシーズンの戦いであるが、両リーグとも10ゲーム差以上つけて首位のチームが、改めて2位や3位のチームと短期決戦をする意義はどこにあるのか、掛布がテレビで疑問を呈していた。逆にシーズン最終戦で優勝チームが決定する劇的シーズンでも意味は霞むから、ゲーム差が本当に主題なのかよくわからない。
                     しかしメジャーも、地区シリーズに進出した4チームのゲーム差は似たようなものである。
                     具体的には、アストロズ対レッドソックスが8ゲーム差、インディアンズ対ヤンキースが11ゲーム差。アストロズ対ヤンキースは10ゲーム差。
                     ナショナルズ対カブスが5ゲーム差、ドジャース対ダイヤモンドバックスが11ゲーム差、ドジャース対カブスが12ゲーム差である(今年は特にぶっちぎり度合いが激しいので毎年こんなに離れているわけではない)。

                     

                     ただしメジャーの場合、1リーグが3地区に分かれ、同地区カードが多めに設定されているため、同じリーグとはいえ地区ごとに戦う相手はそれぞれ偏りがある。単純比較はできない。東地区1位のチームが、西地区2位のチームより勝利数が少ないなんてこともある。こういう複雑な事情によって、百何十試合も戦ったくせに短期決戦で勝者が決まる不条理さをウヤムヤにしているともいえる。まあチーム数が多いというのが一番の要因なのだろうが。
                     というわけで、クライマックスシリーズの存在意義を云々し出すと、メジャーのポストシーズンの意味も怪しくなってくるところはあるのだが、より面白くするためにと何年かごとに仕組みをいじっている向こうさんの姿勢は参考にしてよいと思う。野球に限らず、一度決まると疑問があってもやり続けるというのは本邦の悪弊の一つであるから、せめて議論くらいはやってしかるべきではと思う。


                    地区シリーズまとめ、とカズオとカート

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                       リーグ優勝決定戦に進むチームが決まった。
                       ナ・リーグは、本命ドジャースが3連勝であっさり通過、といっていいのか、まあまあDバックスに粘られた。エース・カーショウの今後の出来やいかに。昨年先発のくせにクローザーより短いイニングしか投げさせてもらえなかった前田は中継ぎで安定した投球。ダルビッシュは好投したものの頭に死球を投げてしまった。

                       

                       ナショナルズ対カブスは、シーソーゲームで最終戦までもつれ込み、どっちが勝つかさっぱりわからない拮抗した戦いとなった。半分ほどは、まるで四球を出すために登板するエドワーズJrを筆頭にカブスの中継ぎ陣が不安定なせい。上原不在が響いている。おかげで先発のレスターがリリーフ登板することになって、少年野球より下手くそな牽制を披露する羽目になった。それでアウトを取っているから奇蹟。

                       最終戦は、どこからでも本塁打が出るナショナルズが打ちまくっているのに、振り逃げ、押し出し死球、ゲッツー崩れ、相手のエラー等々ひたすらセコイ得点を重ねてカブスが勝ったからこれまたうっすら奇蹟。カブスの連覇はありえるかもしれない。ナショナルズはまたも地区シリーズで敗退したが、東地区を勝ち抜くのにポストシーズンを勝てないアトランタ・ブレーブスの伝統を着々と引き継いでしまっている。「何かをやりそうな男」対決はこれで実現しなくなったが、ワースは打球を後ろに逸らしたくらいしか何かをやっていなかった。長髪ヒゲまではワースと同じなのになぜか全体的にチャラい印象の主砲ハーパーも不発。逆転での敗退に落胆した監督の声が消え入りそうだったので、御高齢なこともあり、健康の心配をしてしまった。

                       

                       ア・リーグは、アストロズが危なげなくレッドソックスを下した。アルトゥーベは「小柄」がどうでもよくなる打棒爆発の活躍。コレア、スプリンガー、打つべき人間がきっちり打っている。盤石で優勝候補最右翼といえそう。レッドソックスは、ファレル監督が解任された。長い歴史の中で地区連覇したのは初のことらしいのだが、地区シリーズでまた負けたのでクビということか。監督交代でバレンタイン時代のようにまた迷走するかもしれない。


                       もう一個の山では、インディアンズとヤンキースが最終戦までもつれ込んで、インディアンズはいいとこなく敗れた。22連勝したくせに地区2位のチームに負けやがって、と思ったが、3戦目で先発してチームを救った田中将は24連勝(色々含めると30連勝)の上手をいく男だった。昨年ポストシーズン中にドローンで遊んで怪我をして登板できなくなったことをいまだ引き合いに出されるバウアーが今年は初戦で好投し、2戦目は大差をひっくり返す強さを見せたくせに、あとの試合はBクラスチームのように静かだった。クルーバー、ミラーが打たれるとインディアンズは勝ち目がない。呪いが顔を出すまでもない敗退であった。

                       

                       というわけで、ナ・リーグはドジャース対カブス、ア・リーグはアストロズ対ヤンキース。30年近く優勝できてない古豪と、108年ぶりから一転連覇がかかる奇天烈集団、勢いづく重量打線と、番狂わせの常勝チーム(矛盾)、といったところ。優勝回数は突出しているヤンキースは、どうせそのうちまた勝つし、あまり面白いチームでもないので(バードの尋常ではない目つきの怖さは必見)、個人的にはおよびでない。ワールドシリーズがドジャース対ヤンキースだと、日本人投手対決という見出しが立つが、あくまで一要素でしかないトピックがすべてのごとく日本の報道が騒ぐのが目に見えているので勘弁願いたい。

                       

                       ここでカズオ・イシグロのノーベル文学賞で、またぞろ「日本出身」問題が起こっているのでMLBに無理やり話をつなげて書いておくとする。スズキはスズキでも、カート・スズキという選手がいる。マック鈴木と違い、鈴木和人だから愛称「カート」というわけではなく、日系アメリカ人である。ミドルネームはキヨシらしい。実績はそれなりあるが、スター選手でもないので日本ではあまり知られていない。スズキなのに!と茶化している自分自身がこの選手を覚えているのはやはり「スズキ」だからというのは否定しようがない(別に「カトウ」でも「ヒライ」でも同じ)。

                       同時にレンジャーズのバーネット(元ヤクルト)にも目が行くし、それ以上にアストロズのコーチをしているパウエルは中日での活躍を知っているからつい応援してしまう。コーチ、それも補佐だから何を応援するのか自分でもよくわからないが。一方で、ダイヤモンドバックス監督のロブロは一時期ヤクルトにいたそうだが、残念ながら当時を知らないので何かを思うことはない(アストロズのグリエルも同様)。といいつつロブローの語り口を見るにつけ、いい監督(というかいい人)そうなので気になる存在ではある。

                       

                       そして前田とダルビッシュに対して、なにがしかの親近感のようなものがないといえばウソになろうが、ドジャース投手陣でやはり一番応援したくなるのはカーショウである。投げ方が格好いいのとカーブの曲がり方がマンガみたいなのと帽子のツバが今風まっすぐではないところは見ていて面白い。ロバーツ監督は沖縄生まれらしいが、そんなことより顔が甘利明に似ている方が気になるし、それ以上にやはり、現役時代にレッドソックスの呪いを解く最大のキーポイントとなった9回2アウトからの盗塁を決めたことが印象としては一番大きい。
                       要するに、出身で贔屓する感情をことさら否定するのも不自然ではあると思うが、そんなことよりはるかに気になることがいっぱいあるということで、生まれが長崎だなんだと騒ぐよりちゃんと本を読めと、言うまでもない話をぐだぐだ書いてしまった。

                      あの長寿連載マンガの秘密に迫る!というような深夜番組でたまたま紹介されていたズバリの一コマ



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