あのバカは荒野を目指す

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      足掛け3年に及ぶ4話連続ドラマ芝居が終幕した。平日夜にバタバタとご来場いただいた皆様、ありがとうございました。いや〜とうとう終わりましたねぇ、という感慨は正直なところゼロだ。どうにかこうにか終わらせられた、という感想しかない。それもこれも、制作期間が実質1週間しかなかったからに尽きる。これ一個だけとっても、やっちゃいかんことってことですね、こんな突貫工事は。

     見に来てくれた知り合いは「一週間でようここまで仕上げたねえ」と感心していたが、知らない客からは「いかにも慌てて作った感じでしたね」と言われた。そりゃそうだ。スティーブ・ジョブスじゃないけど、客にはやっぱりバレるものなんだよ。

     金が絡むのなら「仕事だから」という万能ワードで解決する部分もある。けどこれ、ノーギャラでやってるんでね。熱意とか意地とかだけで出来てる作業を、やっつけでやろうとする時点で矛盾、破綻しているわけですわ。

     こっちも意地があるから、本番ではノーミスでクリアしてやるぜと意気込んだものの、初回は台詞を二箇所ミスし、二回目は、二回台詞を噛んで、二回小道具の処理をミスった。所詮凡人。ごますり覚えて生きてくしかないっすね。

     打ち上げには出演者の身内の若い衆が来ていた。なんでも、入学一年にも満たない大学を辞めて声優を目指そうとしてるという。当然身内は全員心配する。なので何かの参考にと、週末から今日にかけて色々な舞台を薦められるまま見に行って、本日ここを訪れたということだった。

     そこで会う人会う人の反応は全員「大学を卒業しろ」だった。まあ、出ても何の意味もなさそうな「どこそれ?」大学だったらとっとと辞めてもいいと思うが、聞けばとある特別な職業の資格が取れるというから、俺の意見も「卒業したら?」である。

     打ち上げの席でも出演者たちがそれぞれ色んなことを(結論は同じだが)彼に言った。必然、それは自分の十九二十歳を振り返る行為だ。若者を説教しているうちに、みんな「私もああすればよかった」と思い出して遠い目になっている。そして自分も彼と同じ歳のころ、年嵩の連中の意見なんか耳を傾けもしなかったなと振り返る。

     藤子F不二雄の短編に「あのバカは荒野を目指す」という作品がある。ホームレスのおっさんが過去にタイムスリップして、若かりし頃の自分と出会う。若い自分は大企業の御曹司の立場を捨てて「荒野」に飛び出そうとしていた。そのなれの果てが今のホームレスの自分なわけで、今の自分は若い自分に「その選択は誤りだ」と説得する。だが若い自分は聞く耳を持たず工作は失敗する。そんなストーリーだ。荒野を目指すのは若者の特権、そこでしばしば敗れ去るのは人間の宿命。ただし、このオッサン、若い自分の無謀さに感化されて、「なあに俺もまだまだ」と忘れていた希望を胸にかすかに灯したところで話は終わる。

     そうだ、俺もまだまだ、と全員が若者への説教をいつの間にか自分の話にしてしまっていたに違いない。いや「全員」ではなく、男は全員、だな。男連中は俺も含めてみんな「決めるのは君だ。これはあくまで俺の感想だが…」と慎重な(言い換えればええ格好しいの)物言いに抑えていたが、女性陣は「で?何考えてんの」と直球だった。そういや俺が会社辞めたときも、一番手厳しかったのは、親父ではなく義姉だったな…。その対応の違いに、教員をしているナンダさんは、「男の説教は選択式問題、女の説教は記述式問題」と、今まで聞いたことのある男女論の中で一番面白いことを言っていた。

    明日が最終回

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        小屋入り。明日の公演に向けての準備の日だ。
       まずは搬入。喫茶店のカウンターと棚、コーヒーカップなどの小道具を運び込む。大掛かりな舞台装置を組む場合は、中に入ってからドンガラドンガラ作業があるが、今回のような地味な舞台は、運び込めば終わりである。

       続いて照明を吊り込む。照明担当が事前に、どこにどのような明かりを吊るかプランを立てているので、それに従って天井に張り巡らされた鉄管に取り付け、結線していく。天井が高いホールの場合は、櫓のような足場をまずは組まないと作業が始まらないのだが、このホールのように天井が低い小屋の場合は脚立で足りる。その上地味な作品なので吊り込む数もたかが知れている。

       小屋入りの日はこんな具合に進行していくのだが、以上のような事情で作業はすぐ終わった。ま、作業のほとんどは相内氏と伊藤君がやっちゃって、俺は横でフムフムと言っていただけだが。何せこういう実作業に関してはド素人でしてね。スタッフワークに通じていないと小屋入りの日は、寂しい思いをする羽目になる。世の中に当てはめれば、手に職をつけるってやつですか。才能もスキルもない人間は、ゴマすりを覚えるしかないと言ったのは、野村克也だったか岡田彰布だったか。

       さくさく作業が進んだので昼飯をゆっくり食べた。劇場の裏(世の中的には表通り)に新しく出来た韓国料理屋。といっても店構えはジャンクフード屋のような安っぽさであるが、これがなかなか侮れない旨さだった。韓国で食い逃したプデチゲもあったんだけど、スンドゥプのチゲを食いました。

       Wシリーズはレンジャーズ対カージナルス。順当といえば順当な組み合わせか。見事に応援してない方の組み合わせとなったが、どちらも負け方が悪いから参りましたというしかない。

      間もなく公演です

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          公演が迫っております。こんばんは。森下こと、勝克夫です。帰宅後、銭湯に行きました。途中で割引券を忘れたことに気がついても、我慢できずにそのまま行ってしまいました。いろいろとパンパンなのです。

         台詞を覚えるのにただただ必死な一週間だったが、ようやく台詞が言葉になってきたような気がする。台詞の咀嚼、消化と言い換えてもいいかもしれん。他の登場人物の台詞の合間合間に自分の台詞がある。役者から見る台本はこのように見えるもので、その「自分の部分」を必死に記憶するわけだけど、他の人物も含めた全体の流れの中で、一個一個の位置付けを理解しないと、話を転がせるようにはならんわけです。「台本を読み込む」という、巷間よく言われる作業はこのようなことだと理解している。

         んで、今回のような明確なストーリーがある会話劇というやつは、台詞のところばかり目が行きがちなんだけど、それではやはり物足りんのでありまして、台詞以外の色んな部分を煮詰めたい。それは結構時間を要する作業なんだよなあ。

         タイガースは大敗して敗退。こんな大差のついたゲームで投げさせてもらえなかった上原に次はあるのか。カージナルス対ブリュワースの方は、前者が勢いで勝っているか。Wシリーズ日本人対決というウンザリするくくり方で語られようとも構わぬ。ブリュワース踏ん張れよ〜。


        Critical Creation code:04「souvenir - episode4」

        演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
        脚本:戒田竜治(満月動物園)+タダシアイウチ(Critical Creation)

        出演:森下淳士(劇団ころがる石)、諏訪いつみ(満月動物園)、南田吉信(劇団大阪新撰組)
            西出奈々(彗星マジック)、白木原一仁(ななめ45°)、河上由佳(満月動物園)、伊藤由樹

        日程:2011年10月18日(火) 18:30 / 20:00
           受付開始は開演の30分前、開場は開演の15分前から
        会場:in→dependent theatre 1st
        料金:前売・当日とも1,500円


        10月の突貫舞台

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            旅の話ばかり書いてきたが、実は芝居の練習をしている。昨日あたりから台本が揃ってきて、練習がマトモに回り始めた。本番までの一週間、頑張るぞ〜。は?
           そうなのだ。一週間しか無いのだ。この前「本番一週間前で急きょ代打出演」というのをやったけど、遠の昔から日にちも出演者も決まってた話が、今更ようやく制作開始。全員がまるで代打出演状態と来たもんだ。ドアホ。責任者出て来い! って目の前で演出をしとるわ。
           とりあえず言いたいことは終わってからや。例の本を配る話の最終回。紹介もおざなり。最終回なのにそういう状態とは、まるで「あしたのジョー」の最終話をちばてつやに事実上全部丸投げした梶原一騎のようではないか。
           どうでもいいが、練習までの電車賃を思うと、そこだけは韓国が恋しくなる。俺も宇野さんだぜ。

          Critical Creation code:04「souvenir - episode4」

          演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
          脚本:戒田竜治(満月動物園)+タダシアイウチ(Critical Creation)

          出演:森下淳士(劇団ころがる石)、諏訪いつみ(満月動物園)、南田吉信(劇団大阪新撰組)
              西出奈々(彗星マジック)、白木原一仁(ななめ45°)、河上由佳(満月動物園)、伊藤由樹

          日程:2011年10月18日(火) 18:30 / 20:00
             受付開始は開演の30分前、開場は開演の15分前から

          会場:in→dependent theatre 1st
          料金:前売・当日とも1,500円


          公演終了

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              ご来場いただきありがとうございました。
             1時間弱を2回しか上演してないのに滅茶苦茶疲れた。情けない。演技なんざ段取り通りにコトを運ぶだけの、八百長相撲みたいなもんだが、これはこれで非常に疲れる。

             個人的にはリーゼントがばっちり決まってるのが、今夜の俺はショーンペンだぜ、マドンナもメロメロだぜってな気分で楽しくて仕方なかったが、疲れ果てて帰宅してから風呂に入ると、整髪料を洗い流すのに難儀した。5回くらい洗った。馬渕前大臣とか三浦番長とか、世のカッチリ頭髪オヤジは毎日こんな苦労してるんだろうか?

             今作は第2話から随分間が空いたのと、話の中にストーリー紹介を含めるのがさすがに3話目ともなると難しいというので、冒頭に簡単なダイジェストを上映した。その映像の最後は2話目のラスト数分を丸々使ったのだが、今から演技するぞっていうときに昔の自分の演技を客観的に見せられるのはさすがにキツいものがある。「俺こんな声ちゃうし」という小学生的な困惑はいまだにないこともないが、それより何より、演技ヘタくそやな俺、と正直思った。多分、自分だけ過敏に反応してしまう自分の悪い癖というヤツなのだろうが、なのでそこら辺を気をつけて演技に臨んだわけである。しかし打ち上げでは、面識のなかったスタッフ諸君から「水注ぐの上手いっすよね〜」とかって口々に褒められて、褒めるのそこかよ。

             まあ、来場者に配られる「当日パンフ」というやつの、各出演者の今後の予定の欄に、俺だけバンドの予定が書いてあったので、ミュージシャンが課外活動的に出演していたということに自分の中ではしておくわい。ミュージシャンてなぜか大抵演技上手いんやけどね。

             さて毎度ながら共演者の皆さんが気持ちいい大人な人らばっかなんで現場は非常によかった。何事も話早いし。中でも最若手の伊藤君が今吉に似ていて一人こっそり面白かった。「衣装こんな感じですかね」て持ち出してきた服がこれまた今吉風で。舞台見に行くとちょいちょいどこかしら今吉みたいなやつに遭遇するんだが、今回はまさかの自分が出演した舞台がそんな演劇あるあるだった。今吉あるあるかもしれんが。

             次ぎはライブでお会いしましょう。3月21日ですが、開始時間まだ不明です。


            あらすじ

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                「souvenir-episode3」の公演が近づいてきておるが、エピソード3とある通り次回は第3話である。第2話をやったのがもうかれこれ2年前。第1話に至っては何をかいわんや。今回初見の人とそうでない人に何か違いがあるとすれば、「何か本をやり取りする話だったなあ」という漠然とした記憶の有無にとどまるのではなかろうか。
               まあ一応、単独で見ても問題ありませんよ、という触れ込みだし、「007慰めの報酬」という随分遠慮なしに「続き」を描いた映画も世の中にはあるくらいだから、あまりそこら辺に気を回すことは少なくとも俺自身はない。

               とはいえ、マンガ単行本の最初のページには、長期連載過ぎてまとめるのはもう無理なんじゃないかという作品ですら「これまでのあらすじ」が書いてあることがほとんどでもあり、何よりこの企画の仕切りである劇場プロデューサーの相内氏のブログに、先日、詳しすぎるストーリー紹介が掲載された。

               エピソード1のあらすじ
               エピソード2のあらすじ

               以前テレビでバカリズムが紹介していたどっかの地方新聞の詳し過ぎるテレビ番組紹介欄のごとく、台本のノベライズまであと数歩という分量である。なので、主役たるこのワタクシも、作品への思い入れを織田裕二ばりによりいっそう強くするためにも、ここで「前回までのあらすじ」を紹介しておこう。

               俺が演じるデヤマは喫茶店のオヤジだ。髪を後ろになでつけ白シャツに黒パンツという割合フォーマル系の喫茶オヤジである。第2話ではいつも「ブルマン」を注文するマツダイラというおっさんが登場しているので、豆ごとにメニューがあると推察される。割りに本格派だ。こうなると店内にはビクターの蓄音機が置いてありそうだが、今のところは見当たらない。

               そういえば第1話では過剰労働の看護婦・イシヅカに「よく眠れるから」と、マージョラム茶というハーブティーを淹れていたから、割りに節操無い店かもしれない。カウンター横のラックに新聞や雑誌は置いてあるが、週刊ポストは置いてないところからも察するに、喫茶とカフェの中間のような店なのだろう。店舗面積も広くもなければ狭くもない。どれくらいの広さかといえばちょうど小さな劇場の舞台と同じくらいの面積である。


              episode-1より。髪の毛多いな…。

               このデヤマの店にはイシヅカやマツダイラの他に、刑事のサワダやOLのハヤシといった常連客がいる。ハヤシは第1話で初めて来店しているが、すっかり居ついている。余程コーヒーが美味いか居心地がいいかのどちらかだろう。第2話で登場するイタヤというちょっと陰湿な男も第3話でフツーに常連然としている。

               こういう喫茶店主には暗い過去があるというのが物語の王道である。忘れ得ぬ死んだ恋人がいるとか、実は殺し屋だったとか、その手の過去だ。

               デヤマに関して言えば、実は両方であることが第1話、2話通じて明かされる。正確には殺し屋ではなく、平たく言えばスパイ、身も蓋もなく言うと国家公務員である。

               デヤマがスパイしていた相手こそがデヤマの元恋人・マツモトであり、マツモトは指定図書流通禁止法の反対運動の先頭に立っていた女性だった。
               急に漢字が増えてきたが、この物語の世界には、一部の本の流通を禁止する法律が存在する。俗悪な内容だと判定された本は「指定図書」となり、流通を禁じられる。この「発禁」ではなく「流通を禁止する」という辺り、いかにも法律的な発想といおうか、小憎い設定である。
               俗悪な本が諸悪の根源のように扱われるのは昔っから人類が繰り返してきたことである。どうでもいいが、俺の卒論はそんなテーマであった。このシリーズが始まったときには「昔にもあったこれからもありそうなこと」という印象だったが、現実が追いついてきて東京都の条例がどうのこうのというご時世になっている。



               話を戻すと、デヤマはマツモトをスパイするうち、マツモトに惚れてしまい、そしてマツモトは死ぬ。警察は自殺と結論付けたがデヤマは信じていない。陰湿な上司のイタヤはいかにも何か知っていそうだが、知らぬ存ぜぬを通している。

               そんなわけでデヤマは職を辞し、喫茶店のオヤジになった。公務員が自営業に転じてそれなりにやれているのだから、デヤマは意外と器用な男である。だったら辞めずに済んだような気もしないでもないが、元々公務員より自営業がむいていた進路を間違った男なのかもしれん。そういえば俺の知ってる男に新聞社に入ったくせに辞めて劇団をやっているのがいる。

               デヤマが喫茶店をやっている真意、それはマツモトが遺した大量の本=指定図書=souvenirを喫茶店の特別メニューとして別の誰かに贈ることだ。



               第1話では勤務先の病院内の不正に翻弄されて疲れてしまったイシヅカに、第2話では離婚した妻への未練を断ち切れない惨めなマツダイラに、それぞれ手渡している。一体何の本なんだろう。それは皆さんの心の中に、というところだろうが、マツダイラに渡したのは「リリーフランキーの人生相談」(集英社)だと思う。

               次回、第3話の内容を、銀河鉄道999の予告編ばりにお伝えしよう。

               真相。それはいつも心地よいものとは限らない。人はそれをわかったつもりでも、求めてしまう真相の残酷さよ。次週のsouvenirはepisode-3。お楽しみに。

              完璧な人生

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                  葬儀の日は朝から晴れて、お陰で路面がカチンカチンのツルツル。車が滑って滑って大変だった。そのうち遠慮なしに雪が降り出す。しんしんではなく、ボウボウである。

                 伯父さんは84年前のこの日に生まれたらしい。昭和2年。元年が年末の一週間程度しかなかったことを考えると、昭和史を丸々生きた人ということになる。
                 死ぬ覚悟で出征して出撃前に8・15を迎え、以後の人生は日本の復興とともにあった。歴史書に名前なんぞが出てくるはずもない“路傍の石”であるが、今の日本を作った無数の人の一人であるのは間違いなく、こちらとしては頭を下げるしかない。
                 「小さいころ遊んでやった」孫のK君は、「小さいころからお爺ちゃんみたいな大人になりたいなと思ってて、それは今でも変わらないすね」と屈託なく言う。うーん、何というか、つまるところそれが全てなんだなという世代間継承である。伯父さんは、これまた何というか、完璧な人生を生きたんだなあと思う。

                 84年前の今日も、雪がボウボウと降っていたのだろうか。火葬場へと向かう、無粋に寂れた田舎の幹線道路を葬儀場のバスに揺られながら、何かそんな物語を書いてみてえなあと思いつつ、それって高村薫の「晴子情歌」やないかと思う。

                 会食もそこそこに中座して、兄貴の車に揺られながら大阪へと戻る。雪が激しくて往生した。名神に合流しても雪は続いていて、ようやく景色から雪が消えたのは野洲あたりだった。ほとんどの新快速が野洲止まりなのはそういうことか。

                 車は第二京阪から奈良方面へ。途中、松井山手のマンション群が見えて、結構な未来都市だなあと思う。俺は適当なところで降ろしてもらい、電車で日本橋へ。夜から相内劇団の練習である。

                 「いや〜大阪は暖かいなあ」と裏日本風をフカしたかったが、大阪も寒かった。相内氏が小道具をあらかた用意してくれたので、「喫茶店のマスターの作業」を段々体が思い出して来た。今回も何やかしいうて、まず段取りありきの役どころになりそうだ。

                「souvenir-episode3」

                ■日時
                 2月15日 18時〜 / 20時〜

                ■場所
                 in→dependent theatre 1st (地下鉄堺筋線・恵美須町駅最寄)

                ■料金
                 1500円

                ■出演
                 森下淳士、諏訪いつみ(満月動物園)、河上由佳(同)、西出奈々(彗星マジック)、
                 白木原一仁(ななめ45°)、伊藤由樹(突劇金魚)

                ■問合せ
                cc@at-will.jp


                練習をしておる

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                    練習初日。練習段階から劇場というのが何とも贅沢だ。

                   台本段階では、舞台の使い方を超粗っぽくしか考えてないので、まずは喫茶店のカウンターや客席がどこにあるかという海抜ゼロメートルからの確認作業から始まる。
                   そして各場面ごとに役者がどう動いてどこに位置取りするかというような段取りの確認。この手の作業の取捨選択は、俺もそれなりの経験値っちゅうやつがあるので、適宜適当に意見したりして、ちゃっちゃちゃっちゃと作業は進む。

                   物語をおさらいしておくと、本作は書籍の流通に規制がかけられている社会のお話だ。今の東京都のマンガの条例みたいなんを想像してもらえればいいと思うが、内容がよろしくないとされた本は流通さしたらいかんと、そういう状況下で俺は喫茶店の主人を演じ、他の役者諸氏は常連客を演じている。常連客はそれぞれ色々と事情を抱えていて、主人は毎話、そのうちの一人に特別メニューを提供する。

                   で、今回は、なんで喫茶の親父がそんなことをし始めたかという過去の経緯が語られる内容だ。というわけで「現在」の話と、「過去」の話が行ったり来たりする。
                   こういう四次元的な構成は劇団ころがる石の十八番で、十八番というかそんなんばっかりやってるような気もするが、油断すると横からいくらでも口を挟みそうになるので自重のブレーキはかけっぱなしである。今回の俺の役割は演技演技。

                   練習終わりでビデオカメラを修理に出すべく電器屋街を歩く。THIS FOLKの撮影のとき、カメラのトラブル続きで散々だった。修理に出すのはこれで何度目か。「ソニータイマー」とかいう次元ちゃうぞ。

                   ところがいつも持ち込んでた店が、ノー!消えてる。
                   日本橋の事情通でもある相内氏に尋ねると、難波にソニーのサービスカウンターがあるというのでテクテク歩いてそちらへ向かった。府立体育館の向かいにそれはあった。
                   何の飾り気もない、かといって特段格好もつけてない、まさしく味も素っ気もないカウンターでカメラを預ける。こういうオフィスがシレっとある辺り、街やねえ。とくだらない感想を抱く。

                   カメラを修理したところで、この先撮影の予定があるのかないのか。一件、博打のような計画が、薄ボンヤリ以下の何の現実味もないレベルであるんだが、どうやって踏み出したものか。要は金銭の話ですわ。

                   梅田に移動して知り合いと鍋をつつく。「仕事を変えたいが、ぼんやり考えてるだけで何をどうしたいのかもよくわかってない」とボヤいている。みんな考えてることは同質か。

                  souvenir-episode3

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                      来月に舞台に出る。前も書いたけど。喫茶店のシリーズの第3話だ。

                     本日は顔合わせ。二年ぶりに河上さんや諏訪さんなど、見慣れた顔ぶれと個人的には久々の再会。すっかり演劇界の浦島ジャン=ポールたるワタクシは、ジャングル1の二階が楽屋に改装されてるとは知らなんだ。俺としては、あの袖の狭苦しい真っ暗な中で開演を待つ時間が好きなんだが、諏訪さんには全く理解されなかった。学生劇団時代に染み付いた貧乏根性だろう。明るい楽屋で開演を待つ感覚がない。昔々によその劇団の公演で縁あってでっかいホールに出演したときも、わざわざバックヤードの暗いところに移動して孤独な時間を過ごしたものだ。

                     改めて説明すれば、この公演は、大阪の演劇人は全員知り合いという、田舎の県庁の総務部長みたいな立場の(極一部の内輪の人向けのささいな冗談です)劇場プロデューサー・相内氏が、何を思ったのか「劇団・俺」をやりたくなったところに端を発している。連続ドラマみたいなテイの構成で、数年前に第1話をやり、数年前に第2話をやった。俺は喫茶店のマスターという、一応主役を預かっているわけだが、これがいかに異質に難しい役どころであるかは、以前書いた。

                     相内氏が大枠を考えた物語を満月動物園の戒田氏が脚本にして、相内氏が演出、という体制でやってきたんだが、今回はとうとう相内氏が自分で台本を書いた。書いたとはいってもカイタやつをカイダ氏がアンカーのごとくまとめた台本であるんだが、まとめたといってもまだ出来上がってない。よくよく考えると、相内劇団に限らず他所の公演に絡むときは、基本台本の仕上がり状況には恵まれていた。公演日まで一ヶ月を切った段階でこの仕上がりってのは、なかなかスリリングでありますなあ。えっへっへ。

                     相内氏は「脚本て難しいんすねえ。みんなよく書けるなあ」と感心していたが、実際問題、「脚本」を書けるやつなんて自称してる人間の二割もいねえから卑下するこたあねえぜ。


                     で、本日は打ち合わせと未完成台本の読み合わせをして一杯、という流れだったが、俺は中座してスポーツ新聞に勤める若い記者R君と日本橋で合流。こちらも何年ぶりの再会となるんだろう。母親の絶筆ならぬ絶読となったワタクシの本の材料集めも兼ねて、相合橋のどーでもいい店でもつ鍋をつついた。

                     R君は年末に結婚して初夏には子供が生まれるらしい。ん?計算が…。年齢はまだバンサンカンである。若いのにたいしたもんじゃ。むー思い起こせば俺様も彼と同じ歳のころ、結婚しようぜなんてなことをぶつけたマドモワゼルがおったなあ。なのにこのテイタラク。♪関係ないことまでずっと気にしてた、僕らは少し若かっただけさ〜(C:良元優作)

                     おっといかんいかん、つい遠い目をしてしまった。と、遠い目の先には、いつの間にか人気芸人とその手下のグループが同じく鍋をつついていた。人気者とはいえ背中を丸めて飲んでる姿は周りのサラリーマンと同化してる。日々しょっぱいんやろうなあ。

                     しっかし最近の俺は、久々に飲んだくれている。先日は古い友人のマダームKと生野で飲んでおったし、その前は先輩のマダームHと四条烏丸で飲んでおった。マダームHというと淫靡な誤解を生みそうだが、単にイニシャルである。店を畳んで難波に立呑屋を開いたムッシューとっさんの店にも顔を出した。あれ、何の話や。まあボワールボワールっちゅう話ですわ。

                     稚拙なフランス語を嬉しげにひけらかしとりますが、来月公演のタイトルはSouvenir、フランス語ですわ。 

                    主役終わり。契約満了。

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                       公演終わりました。ご来場いただいた皆様ありがとうございました。小さい場所での2回ばっかしの公演なんで上限はたかが知れてるんですが、それでもなかなかの数の人が来てくれたようでよかったです。
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