「気づき」にあふれるいまどきの「学び」

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      詳細は端折って、講師のスキルアップセミナーのようなものに参加する機会があった。あんたそんなもん行くんだな、と知り合い諸兄の中には意外に思われる方もおられよう。実際現場でもそんな風に思われているという空気をひしひしと感じた。
     初対面の人から唐突に「退屈してないですか大丈夫ですか」と言われるし、知った人からは「こいつは心の中で舌打ちしながら参加しているに違いない」といわんばかりに妙に気を遣われるし、うっすら知った人から終了後に「どうでしたか」とやたらと感想を聞かれたののも、同じような懸念の発露なのだと思う。

     正直に言えば、能力開発系というんでしょうか、コーチング系というんでしょうか、この手のセミナーにはひどいときには眉に唾をつけながら、文字通り斜に構えてしまうところが俺にはある。新入社員時代、ロクに研修しない会社だったのは数少ない幸運だったと思う。ただし年も年なので、そういう自分を一応抑制して、せっかくの機会に学ぶべきところは学ぼうかという柔軟性とういかオトナゲはある。勉強するのは好きな方だし。

     というわけで、一応真摯に取り組んだつもりであるが、どれほどの意味があったのかはよくわからないというのが感想でありました。
     資格講座系の様々なジャンルを教えている講師同士が5、6人でグループになって、グループワークを行うのだが、基本的には「何のために学ぶのか」というような、「人はなぜ生きるか」級に獏としたテーマについて、お互いに獏っと意見を出して、なんとなくまとめて終わり、というようなものである。
     もちろん、話が盛り上がるような細かい仕掛けやルールが決められているから、それに沿っているという点では何事かを共同作業で組み立てているような気にはなるのだが、いかんせん漠然とした話を漠然と語り合ってるだけなので、あんまり面白くはない。

     ついでに、一般的に正しいとされていることについてそのまんま乗っかっただけの話だったりするから、結論も最初から見えていたりする。とはいえこんな場でそこに疑義を呈しても「俺は一味違うぜ見せびらかし」になるだけなので、必然「なるほど」とただ頷くだけに終始する。組み合わせが変わって、何やら深〜いものを湛えていそうな味わい深い年配の講師と同席したのだが、「いやはやまあまあ」と、特に意見らしいことも言わないのは、おそらくこの人も、見せびらかしになるだけの事態に首を突っ込まないからだろう。

     特に文句はないのだが、1つだけ蛇足を申し述べておくと、この手の場でよく用いられる「学び」とか「気づき」とかいう言葉が嫌いだ。「学びを得る」、「学ぶ」でええやん、と思う。「気づきを得る」、「気づく」でええやん、と思う。名詞化することで何か特別なものであるかのように演出するこの手法、考えた人はすごいと思いますが。次の舞台では、私は演じを実現し、バンドでは弾きを高めたいと思います。そんなことをより原稿の締切が近いので、書きを急がなければ。

     さてこのセミナーの中で、高校の無償化という話が出てきた。高校や大学の授業料がタダという国はそれなりにある。そういう税金の使い方は、いかにもヨーロッパ的で、先進国はかくあるべしみたいな気になってくるのであるが、国費を使って悲壮感を漂わせないと怒られるという、どうやら最近の流行りに照らし合わせるに、子供が同じ文脈で批判されるだけな気もするのでやめた方がいいんじゃないかという気がしてきた。もちろんそんなことは発言するはずもなく、粛々と前のめりで場を楽しみました。

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