テレビの感想

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     録画していたNHKの「未解決事件」を見て、草剛はいい役者だなあと思った。右翼役の村田雄浩に「銃弾は私たち一人一人に向けられたものだ」とぶつけるクライマックスを筆頭に、教条主義的に響いてしまいそうな台詞を、特段格好よくもなく、それでいて熱っぽく、表層的にならずに演じていて、やるなあと思って見ていた。あと、茶色のジャケットに青シャツを合わせる着こなしは、「大統領の陰謀」のロバート・レッドフォード風だった。


     このシリーズは、グリコ森永のを見て以来なので相当に久々だ。あのときは、再現ドラマとドキュメンタリーが交互に出てくる構成だったせいで批判もあった。犧遒衒瓩取材した事実の合間を埋める格好になっているせいで、インチキっぽく見えるからだろう。

     今回は前後編で、ドラマとドキュメンタリーが分かれていた。確かにこの方が制作者の狙いは明確になるのではないかとは思った。別にどんな狙いがあるのか知らないけど、ドラマの場合は再現性ないしは臨場感という点で優れている。もちろん危うさはある手法だが、事実に即することと、ドラマとしてきちんと仕上げることの、しばしば両立しなくなりそうな2つを追求する緊張感はあったんじゃないかな。心意気やよし、だ。

     こちらの勝手な事情で、先日瑣末な理由で、くだんの阪神支局の横をたまたま通ったから、余計に臨場感を感じながら見た。ドキュメンタリーの方も、さすがの面目躍如といったところ。

     

     NHKは、ニュースが死に体になってまあまあの年月が経過したが、ニュース以外は健闘している。今このテーマを扱う意義をしっかり見据えた制作陣の気合が入っていたと思う。「ニュースはやっていないテレビ局」だと見なすのが、もはや賢明なのではなかろうか、とすら思う。実際、ニュースが死に体というのは伝え方云々より(それも結構目につくが)、ニュースをたくさんネグっているからだし。

     

     ネグると当然時間が余るから、代わりに何か入れないといけいないわけだが、そこに相撲とかパンダとかがあると、埋め草いただきとばかりに結構しつこく報じることになる。会社員時代、俺は出来損ないだったから、取材が長期化しそうな案件は面倒くさいからなるたけ逃げようと、「すんません俺書道家のインタビューがあるんすけど」「そんなもん日程変えてもらえ」「ですよね」といった駄目な交渉をしていたものだった。で、例えばその書道家が会社主催の書道展に絡んでいる人なんかだと紙面に載せないといけないので「しょうがないから行ってこい」となる。体よく逃げられる。あのころの駄目さ加減を思い出させられるので、パンダがどうとか長々やってるのを見るのは嫌なもんだ。俺と違って本社に集めてるのは優秀な人間ばかりだろうに。

     

     くだらない昔話だが、これ以外にも、当時の自分の思考回路とかメンタリティとかが今の報道で見られる毛色と重なって見えるときがしばしばあって、でも結構前の話だし、俺ちょびっとしかやってないし、と否定はしてみるのだが、やっぱりつながる部分は確実にあるんだろう。この赤報隊の話を見てても思った。いつの間にこうなったのだろうと元をたどっていくと結構昔にあったことが積もり積もってくっついたりはなれたり発酵したりして今がある、ということは暴力とかに限らず、色んな分野であるもんだ。

     

     最初に触れたドラマのクライマックスでは、草薙演じる記者は、右翼の男に話を聞くというよりは啖呵を切りにきたように見える。ドラマの演出という点はとりあえず置いておいて、いやいや記者なんだからあんたの主張はいいから、こいつの言い分聞けよ、と思わないでもない。

     だけど、こういう態度も重要なんじゃないかとも思った。つまり、ドキュメンタリー篇で取材者は大人しく相手の言うことを引き出していたけど、突っ込んでもよかったんじゃないと思ったということだ。ま、こんなことも前から言われてることで、現場の人々も不満くすぶらせて色々考えているだろうし、で、積もり積もって今があると。だからやっぱり「やり方の変化」は避けられない課題だ。当然、こっちからぶつける場合、取材者の質がより問われることになるけどね。優秀なんだからいっぱい勉強したらいいだけのことだよ。


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