わるいやつほどよくねむる

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     昨年のこの時期も全く更新ができなかったが、今年も同様。2月から首が回らぬ手が足らぬ。大学が春休みに入るので、ここぞとばかりに課外授業が詰め込まれるから、講師屋はあっちゃこっちゃに出向いて朝から晩まで喋り続けることになる。

     

     「ヒトラー、あるいはドイツ映画」という映画があって、7時間超の非常識な長尺で、それも前衛劇のような内容らしい。未見。本で紹介されているのをたまたま目にして、そんな映画があるのかとゾッとしたことがあるのだが、同じくらいの長さ、ずーっと一人で舞台上(教壇上)で演技(講義)しているから、聞いてる彼ら学生は、まるで「ヒトラー〜」の鑑賞者のようなもの好きな若人だなこりゃ。とそんな回りくどいことを想像するくらいには多少落ち着いた。

     

     講義が終わると無茶苦茶疲れている。年々酷くなる。ジムで鍛えるという選択肢が現実味を増している。で、帰宅して、資料作りと添削採点、「時事」の準備(後述)、それと確定申告の作業などなどなど、仕事と雑用があれやこれや。それらを抱えて出張。パソコン持っていったらホテルの客室に備えてあった。時代!

     

     青色申告に切り替えてから2年目。綺麗さっぱり作業工程は忘れているが、少なくとも早めにやっておいた方がいいことくらいはわかっていたので、1月の暇な時期から準備をしていたはずだが、こういう作業は「大体終わった」と思ってからが長い、というのが相場。商売をやっている人に比べれば、はるかに作業はマシだが、なんだかんだ細かく色々間違えるから、手間取る。ついでに昨年書いたように、この手の作業が本当に苦手。

     

     さて国税を巡っては周知のような人事につき、腹が立つから、こういう気分に相応しい曲をBGMにかけようとしていたら、ちょうどいいのが見つかった。「悪い奴ほどよく眠る」。20年前の曲だけど、歌詞は今を生きておる。人の命が軽い、というだけでなく、権利が紙切れのように軽いと表現しているところがよろしい。あいつの言葉がすべてを決めて、朝には現実になる、というのはこれは閣議決定のことだな。まさに何が起きても不思議ではない。そして歌詞中にある「荒れるカルト」というのは、制作年当時は、その数年前に事件を起こしたオウムをイメージしておるのだろうが、現在でいうと、宗教団体ではなくて、カルト宗教化しているWiLL界隈がはまりそう。だって連中「欲を満たすためだけ」だろ?

     

     そうして書類がなかなか仕上がらないうちに、改竄の記事が出て、くだんの長官が辞めて、麻生がなんか言ってる。「ヤツの寝息をかきけして狡猾なからくりを暴くロックンロールサンダー」とは朝日新聞のことであった。そして毎日が続き、死んでいたNHKが動き出した。一人あっぷあっぷとしているうちに、世間がアップデートされている。いつの間にかJRに建設中の新駅が開業していて、新春にコートを買った店が閉店していた。


     改竄どうのこうのというニュースを見ていると、俄然「テキトーでいいじゃん、間違えててもかめへんかめへん」という気分が支配的になり、書類作成が一気に進んだ。お役所に提出する書類って「きちんと正確に書かないといけない」という強迫観念が何よりも作業を重たくしてるんだよね。でも不備があっても、「書き換えといてよ」で済むやんと思うと、重しが取れて手が軽くなる。改竄のおかげでカイザー気分。万人の万人に対する闘争状態になるじゃないか。社会が壊れるぞ。

     

     世の中というのは、こういう些末なことからして「ちゃんとしないと」という善意で回ってるってことで、なんでそんな真面目に考えるかというと、そうやって教えられて育ったからで、なるほど彼らが戦後教育を憎むのは、こういうことだったのかと。ま、ただ今急に何かの変異で飛びぬけた不正が生まれたわけでなく、雪みたいなもんだ。1つ1つは地面に着地した瞬間消え失せるように見えるんだけど、気づいたらドンと積もってる、みたいなもので、それなりの積み重ねの中で必然行き着くところに行き着いた(まだ途中経過かもしれんけど)格好だろう。腰を落ち着けて組み立て直すしかない。

     

     とにかく書類をそろえ終わって仕事の合間を見つけて税務署に行ったらば、予想通り受付に出して一瞬で終わった。商売をしている人だと思うが、周りはどっさり色んな書類を抱えて窓口に立っているが、こちらはクリアケースに収まる数枚程度。子供のころの植物採集を思い出した。図鑑で調べても名前がわからないやつを専門の人が判別してくれる催しが、夏休みの児童会館かどっかで毎年開かれていて、夏休みの宿題で嫌々採集したのを持っていくのだけど、堤防の雑草でテキトーに済ませた己に比して、周囲はマニアックなシダ類なんかをキレーに台紙に張っているのを大量に持っていて、なんというか「この場所と時間は俺のためにあるのではない」という思いを抱いたものだった。説明を要した割には大して関連性のない思い出話だった。あのころは持ち込んでいる標本がショボ過ぎるから隣で母親が「恥ずかしい」を連発していたものだったが、確定申告にショボいも恥ずかしいもない。

     

     ところで俺の仕事的にはこの時期、時事問題試験の対策のために講義がまわってくる。昨年あった出来事をまとめたテキスト類が出版されるのが2月くらい。それを受け取ってひどいときは「来週授業よろしくです」という無茶なスケジュールになる。一応普段から横目では報道を見ているが、横目でしか見ていないので正確には把握していないし、全部を知るわけでもなし、事実上ゼロからのお勉強となる。これが今年はかなり苦痛。なんせ「人づくり革命」なんてなフレーズが太字になっている。今の政権が、出来損ないのキャッチフレーズみたいな政策(?)を乱発しているのは知ってはいたが、まるで歴史の教科書の「目安箱」とか「ナントの勅令」とかみたいに太字になって並んでいるのを見ると、勘弁してくれよという気分にそりゃなる。覚える学生もたまらんわな。ま、逆に覚えやすいといえばそうだけど。ただ学生たちは素直なので「やはり重要なのはおもてなしの精神である」という具合に、思い切り広告屋の作り出すフレーズを真に受けたことを論文に書いてくるから、一番恐れているのはそこでなんである。


     ところで試験用のこういうテキストは、ある課題についてこういう法制度が出来たとかやったとかが羅列されているだけなので、読んでいてもろくに頭に入らない。それで新聞社が出している時事用語解説本とか新聞記事とかを見ると、ああそういうことねとようやく腑に落ちることもしばしば。ブン屋の一日の長を如実に感じられる。ロックンロールライトニングが照らしてるんだろうな。


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