【La 美麗島粗誌】(34)台北その9_夜から朝に変わる時間に出遅れた

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     欲張って豚まんと高菜饅頭を買ったから、満腹になってそのまま自堕落にベッドに収まった。おそらく深い眠りに落ちていたのだろう。轟音が鳴ったときには、怖い夢を見ているような現との区別が曖昧な状態がしばらく続き、ようやくして警報だと認識した。途端火事かよ、と飛び起きた。


     下半身はパンツ一丁なので(寝巻が置いてある気の利いたホテルは圓山大飯店だけだった)とりあえずズボンをはかねばならない。警告音声はおそらく「すぐ避難しろ!」と言っているのだろうが、言葉がわからないので正確には一つとして不明。そのせいかどうか、日本ならすぐ飛び出すところ、外国なのでタブレット等の機器は持っておいた方がよかろう、などと結構なピンチのはずなのに妙に落ち着いている。

     充電器ごとコンセントから引っこ抜いてカバンに押し込めながら、窓がないのが気色悪いと思っていたら案の定だ、とコボしつつ、大陸では停電と断水と冠水か同時にやってきて現地友人から疫病神扱いされ、インドでは高速道の事故騒ぎに巻き込まれて「〈持ってる〉事件記者かよ」と案内人に笑われ、でやっぱりトラブル遭遇かよと運命のようなものを感じつつ呪いつつ、靴を履いてさあ退避、とドアを開けたら、ピンポンパンポンと音がして意味不明の館内放送(録音ではなく人がマイクでしゃべってる放送)に続き、英語でアナウンスがなされた。

     

     「客室で煙草を吸った客がいるので感知器が作動しました。火事じゃありません、ご安心を」
     というような趣旨のことを言っている。頭の隅で2割ほどは期待していた「ショボい真相」が現実となり、一気に緊張がほどけた。廊下に出ていた他の宿泊客が呆れたように部屋に帰っていく。アホくさ、俺も寝よ。と思ったが、はて先ほどの英語の聞き取りは合っているのかどうか、急に疑心暗鬼になり落ち着かない。フロントに行ってみよう。

     

     1階に降りると、カオスだった。俺より好条件でアナウンスが聞き取れるはずのチャイニーズたちが興奮して何事かぎゃーぎゃー騒いでもみ合いになっている。もしかすると喫煙発報をやらかした人間を周囲がつるし上げているのだろうか。事件は現場で起きている。・・・・・・、しまった、うっかり手ぶらで降りてきてしまった。
     慌ててカメラを取りに行き、再びフロントに戻ったらもう潮が引いていた。熱しやすく、すぐ冷凍。これが大陸の風。こうして最終日の朝を迎えた。

     

     まずは朝食。昨日の時点で目をつけていた店に行った。大鍋でポトフのような汁を作っていて、客は麺の種類を選んで注文するようだ。やはりここは米粉でしょうよ。
     豚と野菜がたっぷり入っているが、見かけの印象通り全体に薄味。いまいち物足りないので「鹽」でも振るとしよう。店主はひたすら野菜を切り続けている。


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