映画の感想:ゲーテの恋 君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」

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     文豪シリーズその3。これもまた邦題が全部を説明している。モリエールから150年後くらいのドイツが舞台だ。主人公はゲーテ。

     地位を確立する以前の青年期を扱っている点、恋愛が重要な要素である点など「モリエール 恋こそ喜劇」と共通点が多い。今度は、バットマン・ビギンズならぬ若きウェルテル・ビギンズといった内容である。

     

     本作のゲーテは、モリエールと異なりどうも頼りない。長身優男で詩が作れることを除けば、後は割と十把一絡げに未熟な若輩者である。「文学なんかくだらない。法律の勉強をしろ!」と頭ごなしに説教してくる父親に、もっとたてつくのかと思いきや、あまり逆らえずに唯々諾々。こうして、父の口利きで裁判所の書記官見習いみたいな職につくため、田舎町に引越すことになる。

     その町で素敵な美女と恋に落ち・・・という筋立てである。この美女との濡れ場がかなりキレーなエロス具合に仕上がっており、ついつい巻き戻してうっとり鑑賞してしまった。


     しかし楽しげなのはここまでで、ここから先はツラい三角関係の悲恋である。恋愛がテーマの映画をあまり見ないせいでちっとも耐性がなく、こんなベタな展開やめてれーと、濡れ場から一転斜め見で鑑賞した。昼メロかよと思ったが、「モリエール」と異なり、ある程度は史実に即した内容のようだ。だとすれば、確かに文学作品に昇華しそうな強烈な体験だ。

     

     人は惚れて惚れられ、振って振られて成長する。とばかりに悲しい恋(と友人関係)に激しく揉まれて未熟なゲーテが出世作をモノにする筋立ては、痛快なサクセスストーリーであるのだが、「モリエール」と続けて見たせいで、「結ばれる運命にはなかったものの大変に理解のある女性に背中を押されて才能を開花させる」という共通した筋立てに少々白けている自分もいるのであった。男の勝手なロマンというか、なんか都合のいい願望が投影されてるんじゃねえかこれ?というような白け具合である。まあ、嫉妬だな。


     映画では、諸々あったゲーテが絶望の淵から一気に作品を仕上げるように描かれているが、実際には、この作品が扱っている時期から数年後、とっくにこの田舎町を去ってからようやくこの体験を踏まえて「ウェルテル」を書いたようだ。だよねえ。現実問題そんなに早く仕上げられんよね。と本筋とあまり関係のないところでとても重大な事実を知ったような気になり、自分を慰めるのである。


    「GOETHE!」2010年ドイツ
    監督:フィリップ・シュテルツェル
    出演:アレクサンダー・フェーリング、ミリアム・シュタイン、モーリッツ・ブライブトロイ


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