寿司友面談

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     出張に行くことになり、同行の営業の人が「せっかくですので」と寿司屋のランチ接待を施してくれた。そしてその人は「大好きだ」というバッテラを注文している。おごってもらっておいてなんだが、この海産を売りにしている町の寿司屋でなぜになれずしだ、と思ったのだが、思っていたのと全然違う物凄いバッテラが出てきた。そして普通の握りに比べ、これがこの店では一番うまかった。飯がぎゅうぎゅうなので腹パンパン。


     さて某大学の課外講義を受注するにあたり、担当講師と面談したいとの先方の希望により、この日はわざわざ出向いての対面であった。「わざわざすみませんねえ」と営業担当氏は俺に気を遣ってくれるが、わがとこの学生を託すのだから、どこの馬の骨ともわからん講師屋に会わせろというのはまあ当然の反応といえばそう。

     ついでに俺がよほどのアウト人物でなければ受注は既定路線。俺が受注の成否を決めるわけではないので気楽でもある。逆にいえば、研究者逆境のこの時代、公募にも俺にとってのこの営業氏のような代理人がいてしかるべきなんじゃないかと無駄口を想像した。まあ俺自身も昇給の交渉の際には代理人がいてほしいと思うが。


     ありがたいことに、向こうさんの担当者とは指導に対する考え方が似ていたこともあり、話はすんなり終わった。予想されうる「俺とは正反対の姿勢」だった場合を想定して受け答えを一応用意をしていたが、出番はなかった。

     

     大学教授たち研究者のTwitterを見ていると、就職関連の講師屋が蛇蝎のごとく嫌われているのがよくわかる。それもそうだろうと、我ながら思う。

     学生の就職活動がシューカツと名乗りを変え利権構造化する中で、俺がこの業界に首を突っ込みだしたころに比べて狷蔚伴圻瓩凌瑤呂阿辰帆えた。俺が行く大学にも、しばしばその手の業者の講演会だのなんだのが開かれているのをよく目にする。そういう業者さんの中には真偽不明の法則を金科玉条詰め込ませたり、ただの企業側の勝手な理屈を世の真理のように説く奴隷商人ぶりを見せたり、そこまでいかなくても猝枠浪鯏瓩鬚覆召蕕擦燭蠅垢襪里珍しくない。これらの行為は、どれもこれもアカデミズムとは相容れない姿勢である。というわけで嫌われる。


     かような理路や方法論は採ってほしくない、とこの日先方が言うので、もとよりそんなことやったことないですよと返答してそれでほとんど話が終わってしまった。

     俺がその手の方法論を採らない理由は単純で、そうやって仕上げられた文章なり文言なりを俺が読んだり聞いたりしないといけないからだ。そういう内容は100%全然おもんないと決まっているので、苦痛でしかない。

     

     先日も某所で、俺が講義を担当したわけではない学生諸君の面接練習をやることになり、全員見事に雛型穴埋め文で同じことを言うのにのけぞっていた。「主戦場」の市議会のシーンを思い出した。

     説明会に参加させていただきさしすせそといった、こんな取り繕った内容の話を聞きたい人っているのかね。というのが素朴な疑問。彼らが同じようなことを言うのは、誰かがそう教えたからだろうが、教えた人間は仕上がったものを読んだり聞いたりしたことはあるのかな。5人聞くとガックリ疲れて、10人で後は何もする気がなくなる。以前に、同様の雛型穴埋め文で仕上がった「論文」を百枚読んだことがあるが、あの時は誇張でなく本当に頭がおかしくなりそうになった。これも平気で読める人がいるのかね。いるんだろうな。学生よりもそっちの方が心配だ。

     

     若人諸君には、そんな嘘くさい話より他にもっと話すことあるんじゃないのと水を向けると、何だそれでいいのかと楽になったような顔をして武装をやめることも多い。こういうときはひとつ社会貢献をしたような気分になるのだけど、中には「こいつの言っている模範解答は何だろう」と単に視点を変えてくるだけの、当方の意図が伝わらない人も少なくない。さしづめ俺は、一定数には「わかりにくい模範解答を求めてくる人」と受け止められている。なので若人全員に歓迎されているわけではない。

     

     補足しておくと、正課の授業がしっかりしている大学(学部)の場合、学生の書く内容もしっかりしているところはあって、そういう点、こちらがどうこう言ってどうにかなる部分よりも、大学生活の中で鍛え上げられている部分はやはり大きく、その点やはり教授連中に分があるとは思う。


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