器から宝石を取るこ(トルコ)とはできない

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     「トルコの至宝」という電車の中吊りを見ていた。ヴィルヘルム2世のドイツ帝国と滅亡が同期に当たるオスマン帝国の秘宝的なものの展覧会である。中吊り広告には、大量の宝石をあしらった金細工の写真がどーんと配置してある。

     この手の宝飾品はちっとも興味が湧かない。以前インドの国立博物館に行ったとき、これと似たような宝石まみれの金細工が大量に展示してあるのを見た。そこの部屋だけ武装した警備員がいて、そりゃまあルパンが来るとすればここだよなという金勘定の話としてはわかるのだが、あまり面白いとは思わなかった。宝石自体に関心が薄いからだろう。


     しかし、聞くところによるとスレイマン1世の刀が展示してあるらしい。ただの記号に反応するのはまったくもって幼稚であるが、仕事の都合で京都に行く機会も手伝い、まんまと来てしまった。

     書店の中公新書の棚で、割と長らく表紙をこっち向きに並べてプッシュしている「オスマン帝国」は、買ったはいいがまだ読んでいない。そういうわけで知識もそこそこだが、鑑賞上はあまり関係がなかった。

     

     スレイマン1世の剣は、柳葉包丁くらいのサイズに、大量の金細工をあしらっている。ほほう、これかと眺めたが、よくよく考えると、俺は刀剣類もそれほど好きではなかった。歴史博物館の類にある刀の展示を面白いと思ったことがあまりない。


     女性が多いのは宝石類の人気からだろうか。ポスターに使われている巨大エメラルドをあしらった装飾品は、実物を見ると割と惹きつけられた。そういえば、子供のころ、エメラルドだけは好きだったなと思い出した。百科事典的にとにかく名称を記憶するのが好きな子供というのは珍しくないと思うが、俺もその例にもれず、わけもなく動物の名前や星の名前を覚えたものだ。その一環で、誕生石っちゅうのを覚えたわけだが、なぜかエメラルドだけ気に入った覚えがある。

     なんでだろうと思い返すと、名前がクイーン・エメラルダスみたいで格好いいのと、緑が好きだったからだろう。緑の服を好んだ記憶は全くないが、これまた百科事典的に覚えた世界の国旗の中でイタリア国旗が好きだった覚えはある(緑が格好いい)。

     

     イスラム圏といえば、テキスタイル系も有名であるが、こちらも熱心に見つめている女性が多い。宝飾品と違ってこちらは割と好きな方だが、台湾原住民の刺繍を見たときほどは盛り上がらなかった。流れるような繊細なデザインが多いからか。あとはセデック・バレのせいだな。トルコの歴史にもう少し詳しくなると反応も変わるのかもしれない。

     

     これらの宝物の中で、結局反応してしまうのが陶磁器というのは、完全に友人の学芸員Kの影響である。
     明から仕入れた磁器だ。キラキラの宝物の中で、白地に青の絵付けをした相当に見慣れているはずの皿を見ると、ずいぶんな秘宝に見えるからいい加減なものである。ただし、オスマン帝国の人々はこれだけでは満足できなかったのか、器に宝石をちりばめるカスタマイズを施していて、ついていけない発展を遂げている。

     ここは是非、要らんやろそれ、という純血主義は捨てて、越境する文化のダイナミズムを感じるべきところであるが、うーん、要らんやろそれ、とついつい。


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