僕たちには何ができるのか

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     公の場でそれも首相が「天皇陛下万歳」は、ドイツ基準ならアウトだな。新天皇も微妙な表情をしていたように見えたが、ドラフト会議における佐々木や奥川が小池秀郎とカブって見えてしまったのと同じく、こっちの色眼鏡かもしれない。ただ、今上が先代の考え方をもし共有しているのなら、的外れでもないはず。だとすると、我々はリアルタイムで三国志を見ているのかもな。

     

     日本の場合はドイツと違って、帝国との分断処理があいまいなまま今に至るから、ドイツと違ってその辺はヌルい。それが隣国とのいまだの軋轢につながっているから、その労力を思うと無駄なコストだ。まあ少なくとも半分はアメリカのせいだろうが。

     

     ところでこれのおかげで、万歳の際の掌の向きが、正面向きだと降伏を表すから内向きが正しいとかいう理屈はデマだとネット上で話題になっていた。そういや俺もこの作法は聞いたことがある。なんでも珍しく作者がはっきりしている偽書に由来があるのだとか。まるでマナー屋の振り撒く「本当のマナー」状態だ。ノックは3回が正解で2回はトイレのノックだから失礼、とかあの手のやつ。仮にそうだとして、ノックの目的自体は同じなのだから「トイレと同じ」の何が失礼か、合理性の不明な話だ。

     

     閑話休題、万歳作法のデマのもととなった偽書は、おっさん同士の悪ふざけから始まったらしい。信じさせる一定の説得力がある偽書をこさえられるのだから、かなり高度な悪乗りだ。Wikipediaの記述しか読んでないけど、わざわざ国会図書館にまで行って太政官布告を閲覧して模倣したとあるから、デザイン屋か映画の小道具係でもメンバーにいたのかね。

     

     俺が学生のころ、仲間内で「将来、『すごいお父さん講座』を開こう」と冗談めかして語る男がいた。将来おっさんになったころ、各自それぞれの道でそれなりに専門の素養を積んでいるはずだから、それを共有すればみんな「すごいお父さん」になれると、そんな話だった。そうしていざおっさんになり、友人連中それぞれ一人前になっているわけだが、実際なってみてわかるのは、教えられる方も大変なら教える方も面倒なので共有がなかなかに難しいという事実だ。まあそれはさておき、我々だったら何ができるのだろうと、この万歳の偽書の顛末を読んで想像したのだった。

     

     友人連中の進路は、メーカー、金融、県庁と色々だが、いかにも「すごそう」な特異な分野だと、陶磁器の専門家、国文学の専門家、現代美術の専門家、ジャイナ教の専門家、がいる。彼らの力を結集してどんな悪ふざけができるというのか。やけに難易度の高い三題噺だなしかし。特に最後のヤツ!

     そういう俺はというと、いろんな大学の喫煙所がどこにあるのかを知っているくらいっすかね。そして多くが「法律が改正されたのでそのうちなくします」と通告しているので、もうじき役に立たなくなる専門知識である。というか元々役に立たない(ジャイナ教の禁欲主義と何か結びつかないかつい考えてしまった)。

     

     お前は演技が出来るんだからだます役目だろう。いやいや「犯人は元演劇部だったので、この程度のウソ泣きはお手のモノだった」というのは安易な種明かしの定番だが、演技ができても人はだませんよ。巧い人ならできるのか知らんけど、だますのに要るのは演技力より悪意の濃度でしょうよ。

     

     いやしかし、「偽書」の流れで「だます」を前提に考えてしまっていたが、別に人様をだまくらかす必要はないのではないか。と思ったが、専門知を用いた悪ふざけに「だます」以外が思いつかないのだった。


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