イタリア〜メキシコ〜新京〜長久手

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     どこの国だったか、確かヨーロッパだったと思うのだが、とにかくテレビの国際ニュースでインタビューに答えていた男が誰かに似ている。これは誰だろうと思い出せないまま、またもや新大阪駅の喫煙所を訪れ、液晶画面を見て「こいつだった」と答えを見つけた。新幹線に乗るたびこいつを見ている。この富裕層なりすまし野郎が欠かせない体質になっている気がしてきた。


     そうして名古屋に着いた。仕事は昼からだが、せっかくなので早めに行って何かしよう。そう考えたが大したことが思いつかず結局「美術館」という想像力を欠いた選択をしている。名古屋市美の「カラヴァッジョ展」。どうせ大阪にも来るんだが、と自嘲しつつ、一方でとても贅沢だとも思う。田舎だとメジャーどころの美術展は本当に縁がないので母親なんかよく憎々しげに新聞の広告を見てたものだ。それが今日の俺ときたら「どうせ大阪でも開かれるけど名古屋に来たから見ておくか」だから、お前は何トワネットだよって話だ。


     うっかり「メジャーどこ」と書いたが、カラヴァッジョが何者かよくわかっていない。名前は知っているが、ジャコメッティとごっちゃになって収納されていたから「知っている」にはあたらない(菅かよ)。認識度合は「バウハウス」以下だな。

     

     バロック時代の画家だ。思い切り陰影をつけた画風がいかにもバロックであるが、この画家がそれを確立させたという位置づけになる。彼が築いたスタンダードにすっかり慣れた現代人が見るからか、どれもすごく「普通の西洋絵画」に見えて仕方がない。「リュート弾き」のような他とちょっとタッチの違う作品や、盾の凸面に描いたせいで立体的に見える「メデューサ」は楽しめたが、それ以外はどうにも退屈に思えてしまって損をした気分だ。おかげですぐ見終わってしまい、入念にもう一度見直したが昼食時までまだまだ時間がある。

     

     そういえば特別展のチケットで常設展も見れるな。しばしば特別展だけで疲れてしまったスルーされる常設展だが、時間も体力も余っているので階下に。冷やかし半分の気分だったが、ここの常設展はなかなかすごいな。「カラヴァッジョ展」より断然面白かった。

    ディエゴ・リベラ「プロレタリアの団結」


     県出身画家の活動の関係で、エコール・ド・パリの画家の作品を所蔵しており、モジリアーニ、シャガール、ローランサン、ユトリロ、そしてフジタとそろい踏み。もうひとつはメキシコ・ルネサンスで、こちらは全く知らなかったので勉強になった。メキシコ革命による民族意識や社会主義の盛り上がりと、ヨーロッパで興隆していたキュビズムやフォービスムが混ざってなかなかに力強い作品が生まれていったとか。写真はミュージアムショップで売っていた絵葉書。コミュニスト!というモチーフながら、社会主義国のあの冗談のような綺麗なタッチとは異なる泥くさい挑発的な作風。いい絵じゃん。

     これらに影響された県出身の画家の作品もなかなか面白かった。戦前の西洋絵画は生活史的な面白さもある。

     

     それで気分よく昼飯時を迎え、駅までの道すがらにあったベトコンラーメンを食した。名古屋の「新京」と、岐阜系の「香楽」と、同じ「ベトコンラーメン」でも隣県でそれぞれ別の店がある。岐阜出身の友人Nは熱烈に「香楽」を支持しているが、名古屋なので必然「新京」に入店した。
     それにしても「ベトコン」に「新京」とは、まず中国とベトナムが混ぜこぜになっている時点で、オリエンタリズムのような認識が漂う上、不穏な歴史用語でもある。「ビキニ」みたいに元の意味が風化して響きだけが残ったみたいなものか。そう思ったが、店内に掲示してあったあいさつ文には「ベストコンディション」の略とある。wikiを見ると、途中でそのように定義したとの由。「新京」は、ある世代までにとっては素朴なノスタルジアなんだろうな。
     味はというと、余計なことをしていないある意味工夫のないスープに、胸やけのしない細い麺で、ラーメンがすっかり苦手になった俺でもおいしくいただけた。

     

     そうして電車に乗り、仕事場に行くまでにまだ多少の時間があったため、途中下車して長久手古戦場に。池田恒興戦死の石碑と資料館がある以外は本当にただの公園で、特に戦国好きでもない身からすると何ということもないのだが、紅葉が終わりかけだったのがちょっと残念。さて仕事。


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