今年も閉鎖(予定)劇場にて

0

    スポットは画像加工の後付け。わざわざ吊ってもらったわけでも片付け忘れではないので念のため

     

     年末恒例「年一で演劇人ヅラする日」たる劇場主催の忘年会に出席。

     昨年は劇場閉館イベントとの抱き合わせ開催だった。今年も同社が運営する2号館(in→dependent theatre 2nd)が来夏に閉館(近場に移転)するとのことで、その2ndでの宴席となった。

     

     俺が舞台にかかわるようになった2002年当時、劇団ころがる石が積極的に出入りしていたのがこのインデペンデントシアターで、狭い空間が妙に居心地がよかったものだ。当時まだ20代だったプロデューサー氏の若さそのままの勢いも感じた劇場のようにも思うが、2年後には元の倍以上の広さと天井高がある2ndをオープンさせた。広い分、使用料金は高いし、使うときの準備が大変だし、立ったり座ったりして喋ってるだけの舞台に広さはあまり要らんし、そもそも俺らそんなに客こねーし!(電気グルーヴ「N.O.」の感じで読んでね)で、この2ndは大して利用してない。


     なんでも、開館当初から「2020年まで」という契約で、その満了に伴い移転ということだそう。30過ぎくらいで自意識年齢が止まっているせいで、2004年というのは個人的にはそんなに昔という印象もないのだが、「2004時点での2020年」を想像すると、ずいぶん未来の話に思えてくる。当時プロデューサー氏はどれほどの現実味を感じながら契約を交わしたのか、聞くのを忘れた。

     俺はというと、おそらく2004年段階で「2020年の自分」を想像したとき、何らかの成功を収めているか野垂れ死にしているかのどちらかを思い描いたのではないかというところだが、現実は何の成功もないし野垂れ死にもしていない。要するに何の変化もなく、ただ劇団活動だけが縁遠くなっている。
     プロデューサー氏は相変わらずのバンダナ眼鏡ヒゲの風体で新劇場の作業に追われている。更地からの新築になるので、何かと作業は大変そう。この日は搬入用エレベーターの手配がいかに難儀なのかという話を、これも相変わらずの甲高い声で面白おかしく語ってくれた。

     

     話が前後したが、宴席会場たるこの建物の1階が劇場(写真)。2階が楽屋とか事務所とか機材置き場とかになっていて、それでもスペースがふんだんにあるので、以前はこの年末の忘年会もこちらでやっていた。その後、元の狭い方(1st)が改装で炊事場等、使い勝手がよくなり、2ndでの忘年会は何年ぶりかといったところである。昨年はイベントと抱き合わせ開催だった分、最初から人が多かったが今年は例年通り、定刻にそろっているのは友人同士の忘年会程度の人数でしかなく、いわばただの倉庫みたいなところでこじんまりとしているから、雰囲気ではなく気温がなかなかに寒い。

     

     やがて三々五々人が増えだし、知り合い同士が「やあやあ」とあちこちで島を作り出し、大して知人のいない俺は、セントヘレナ島状態になる。この時点で普通は帰るはずだが、何の居心地の悪さも寂しさも感じることなく、ただ堂々と一人でいて平気なのだった。酔客でにぎわう立ち飲み屋で一人酒しているのと状況的にはかわらんからか。まあ、一人酒なんか全然しなくなったけど。


     そのうち例年この席でだけ毎回妙に話し込んでしまうT氏が現れ、例年なら「今年よかった映画」の話を当たり障りなくして終わりのところ、氏が最近熱心に取り組んでいる自主映画の話で盛り上がってしまい、終電を逃した。

     というのもT氏から「怪獣モノかゾンビモノ撮るとしたら、どんなんにする?」と聞かれ、「中共の工作」とか判で押したように同じことをいうリビジョニストゾンビとか、性犯罪に遭ったヒロインに「お前が誘った」とか責めてくる女性差別ゾンビとかじゃないすか、と答えたら「あんた最高やん!」と食いついてくるもんだからさ。演劇関係者だと「え?それ何の話なんすか??」くらいの反応も珍しくなく、バカ設定自主映画作るんなら現実にフック入れてナンボじゃん、という感覚もそんなに共感されなかったりするから、お、通じた、というのはまあ楽しいものだ。

     

     酒席で終電を逃すということ自体、ここ数年はとんと縁がないので、たまにはバチもあたらんだろうと特に罪悪感もない。でも朝まで飲み明かす元気もない(若いときからない)ので、さすがに辞去して酔い覚ましに歩いた。

     

     いろんな肌の色の外国人が結構いて、そこだけは2004年とはかなり様変わりした。あとタクシー乗り場に列ができていたのは意外。一応まだそれなりには忘年会をする人も、遅くまで飲酒するのもいるんだな。歩き出すとムキになって1時間超は粘った。それで適当にタクシーを拾ったら、「まだ道を覚え中なので」と格安にしてくれた。年の瀬のささやかなラッキー。ただし、歩いた割には期待するほど翌日の二日酔い改善には効果がないのは毎度のごとく。

     

    我らが劇団が2ndで公演したときの舞台美術の一部。コインロッカーから拳銃押収、というヤラセをやるはずが中から赤ん坊が出てくるというなかなか面白そうな話だったな。いや拳銃じゃなくて事件の証拠資料だったか。こうして収納棚に使われているのだが、新劇場移転に伴い廃棄となるか。


    関連する記事
    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
          1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    3031     
    << August 2020 >>

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    • お国自慢
      森下
    • お国自慢
      N.Matsuura
    • 【巻ギュー充棟】反知性主義
      KJ
    • 【映画評】キューブ、キューブ2
      森下
    • 【映画評】キューブ、キューブ2
      名無し
    • W杯与太話4.精神力ということについて
      森下
    • W杯与太話4.精神力ということについて
    • 俺ら河内スタジオ入り
      森下
    • 俺ら河内スタジオ入り
      田中新垣悟
    • 本の宣伝

    recent trackback

    recommend

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM