動くから動画

0

    こういう何の面白味もない写真も、「紙芝居」の背景としては使いやすい

     

     動画作成が続いている。結局カット割りに手を出してしまった。一人で自分を撮影しながらカットを割るので大変に面倒くさい上「授業のビデオ」には本来、何ら必要性がない。それでもやる正当性はどこにあるかというと、学生は同じような授業動画をたくさん見てウンザリしているだろうから、少しくらいおかしな凝り方をしたものがあってもいいのではないかというおせっかいである。2文字でまとめれば、趣味だ。

     映画においては「カメラを止めるな!」にしろ「1917」にしろ長回しが重宝がられるものだが、カット割りはやはり楽しい。断片が意図した通り(たまに当初の意図とは違って)つながると、一人で「お〜」なんて言ってる。

     

     イメージしたのは永谷園のCMで、ちょうど動画が上がっていた(下参照)。別に飯を食う様子を撮ったわけではないが、こんな具合に短いアップのカットを細切れにつないで何かに集中している様子を表した映像。もちろん一人でやっているので、自分を撮っているカメラは動かせないが、最後の電話に張り紙をするような、手だけのカットだと手持ちで撮れるので動かせる。

     作ったのは1分もないが、撮影と編集で何時間かかったのやら。自己満足程度には仕上がった。少なくとも初めて撮った自主映画よりも断然うまく作れているから、おっさんになっても成長を実感できるなんてすばらしいじゃないかい。


     一方、別のところで制作した方は悩ましい状況になっている。講義の資料をPCに表示して喋りながら画面キャプチャで撮る紙芝居動画である。美しいわけでもなんでもないおっさんがただ動いている映像を見るより、文字情報が板書のように映し出されている方が学生にとってはよいのではないか、撮影する方も、場所や服装、髪型を整えなくていいし、と思っていたが、こちらはどうも視聴率が悪い。

     

     理由は不明であるが、自分がカメラに向かって話している映像と、文字資料だけで話している映像とを見比べると、前者の方が見入るような気はする。クモと一緒で、人間も始終動くものを見ていないと根気が続かないのかもしれない。演劇人の中にはしばしば、舞台が映画より秀でている部分を尋ねられても「ライブ感」としか答えられない人がいるものだが、もしかするとこれがライブ感というものの正体かもしれんな。文字<動いているおっさん<目の前にいるおっさん。


     そういえば15年ほど前に、アナウンサーを目指す学生の授業を担当したことがあって、そのときに「ニュース番組はニュース素材をつなげれば出来上がりそうなのに、なぜスタジオにアナウンサーを据えて喋らせるという型式をわざわざ採るのか」と尋ねたことがある。ろくな回答はなかったが、聞いている俺もよくわからなかった。今答えを見つけた気もする。

     

     しょうがない、では再びセッティグして俺を撮るか、と思ったが、こちらは3時間もある。無観客の教室で授業収録というのはいくらでもやっていることなのでやれるはずなのだが、黒板もない自宅で撮影者もいない全くの一人でちゃぶ台を前に3時間講義をするのは無理だ。やり始めて5分くらいで痛感した。とてもじゃないがもたない。ついでにカメラの電池ももたない。

     

     これでは撮影だけで3〜4日もかかってしまうから、あきらめて紙芝居に戻った。しょうがないので変化をよりつけるためにさらに枚数を増やす。挿絵的に写真でも添えたら色がつくんじゃないかと写真を探し出すと、お、こんなのがあるぞ、とか、あれ?あの写真はどこへ行ったんだ、とかで1日中そんなことをしてしまった。何やってんだか。

     

     ところで「え〜」と「あの〜」を切る作業が面倒くさいので、言わないように喋った。意識すればできるが、代わりにしょっちゅう言葉に詰まるようになった。ライブ講義に復帰できるのだろうか。予想もしなかった不安にも付きまとわれ始めている。

     


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
          1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    3031     
    << August 2020 >>

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    • お国自慢
      森下
    • お国自慢
      N.Matsuura
    • 【巻ギュー充棟】反知性主義
      KJ
    • 【映画評】キューブ、キューブ2
      森下
    • 【映画評】キューブ、キューブ2
      名無し
    • W杯与太話4.精神力ということについて
      森下
    • W杯与太話4.精神力ということについて
    • 俺ら河内スタジオ入り
      森下
    • 俺ら河内スタジオ入り
      田中新垣悟
    • 本の宣伝

    recent trackback

    recommend

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM