新春緑藍対決

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     アスレチックス×マリナーズの話ではない。

     正月で帰省していたとき、NHKでドキュメンタリーの再放送をしているのを見た。台湾の今、みたいな内容。総統選挙を前にしての再放送なのか、とにかく見ながら選挙の見物に行こうかなあと突発的な旅行の衝動にかられた。が、仕事の都合で無理だった。

     

     よし浮いた飛行機代で初売りだ。と、我田引水の新しい算数思考で、その猊發い振皚疂匱蠅貿濺弔法

     「ロケットマン」を見て以来、毛量と服装の派手さが反比例していくエルトン・ジョンを見習う決意をしたが、その機会がなかった。ようやくの買い物である。だが当たり前の話、常軌を逸したデザインは探すのが難しい。もうかれこれ十何年、無難な服しか買ってこなかったので、真人間の店しか知らん。まあそれでもどうにか多少は背伸びした商品の購入にこぎつけた。おだて上手な店員に上手い具合に乗せられ、かなり上機嫌で帰ってきたが、あらためて自宅で着てみると、ただのチンピラだなこれ。

     

     どうだっていい話だった。

     

     選挙結果は現職の圧勝だった。人口2千何百万で800万票。獲得票数もさることながら、投票率の高さに目がいく。民主主義を諦めてるかのような我が国の低投票率とは比べものにならない。なんでよそ様の選挙に関心が向いたかの理由のひとつは、こういう熱狂をじかに見てみたかったからだ。体験したことがないのでどんなんだろうという素朴な興味である。


     それにしても台湾の緑×藍対決は、左右で単純に分けられないところが面白い。二大政党の民進党(緑)、国民党(藍)のうち、歴史的に保守というか反共というかは国民党の方だが、この政党は同時に大陸側と融和的だ。かつて共産党と戦火を交えた政党であり産経の李登輝好きも知られるところだが、とにかく民進党の方が大陸と対立的である。

     だがその中国共産党と折合いの悪い民進党は、脱原発とか同性婚法制化とか、政策路線としては革新系の色合いが強い。デジタル担当相に起用したのが38歳のトランスジェンダーというのも話題になった。

     

     杉田生産性が現職再選の祝意をツイートしていて、あんたの生産性発言との整合性はどうなんだと揶揄する反応を見たが、政策的に対立することがあっても当選者には敬意を払うのが民主主義の作法であるから彼女の行為は間違ってはいない。ただし、この人「反中(ないしは反共)」だけのワンイシューで飛びついているんじゃないかと疑われても仕方のない普段の言動であるから、嗤いたくなる気持ちはよくわかる。


     まあ政治的意見の対立というのは、そこの国ごとに色々と異なるから、日本と同じ尺度が当てはまるわけがない。だのに複雑だとつい感じてしまうのは、「尺度」が普遍的な所与のものだと思い込んでいるからだろう。

     いや、こんな話がしたいのではなく、「台湾」というと「親日」という馬鹿の一つ覚えがまず出てくるのが煩わしくて仕方がなく、その反発から総統選挙という現地のでかい出来事に目が向いたというそんだけのことだ。

     俺個人の周囲でも、そういうボタンでもついてんのかというくらい、人との会話の中で「台湾」という単語に「親日」と返ってくることがよくあって、何か腹立つんだよなあ。「あれ髪切ったの、何だ失恋か?」なんかと似たようなうるせーよばーか感というのかね(俺自身は言われたことないから俺が持ち出す事例ではないかもしれんが他に思いつかなった)。ま、選挙にはいきましょうねということで。


    【巻ギュー充棟】フランツ・ヨーゼフ ハプスブルク「最後」の皇帝

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       ウィーンの展覧会を見て、にわかに気になり読んだ。激動のヨーロッパ近代史ど真ん中の人物の評伝ながら、ほとんど「別居状態なのに仲がいい不思議な夫婦の物語」だったような気がする。この辺りが、不釣り合いに低い知名度の原因だろうか。


       オーストリア帝国の実質的に最後の皇帝、だけにとどまらず、ヨーロッパの君主制の最後を飾ったような人でもある(本書によると自称「古いしきたりに則った最後の君主」)。

       そうなった理由の一つはムガベ大統領ばりの長い長い在位期間のせいでもある。68年。それも幼児ながら即位する安徳天皇や宣統帝溥儀パターンではなく、18歳で即位しているから現代基準でも大人になってからの在位。千原ジュニアより社会に出るのが遅い。

       それで70年近く皇帝の位にあったわけだから、長過ぎである。それだけ長生きかつ身体頑健だったわけだが、それと裏腹に家族の多くは不幸な死に方をしている。自分だけぴんぴんしていて周りはしかし…、という「グリーンマイル」を地で行く人生だ(これまた本書によると自称「われは見捨てられしものなり」)。

       

       この人が気になったのは、展覧会で見た一枚の絵画だ。タイトルも作者名も覚えていないが、ドイツ語翻訳も動員して検索しまくってようやく見つけた。何のことはない展覧会のTwitter上に上がっていた。

       「宮殿の書斎」のイメージからすると割と質素な部屋で、孤独に仕事をしている姿にも哀愁が漂うが、目を引くのは壁の肖像画。そういやこの人、嫁さんが…、あれ?なんだっけ?と、前に読んだ歴史の本のうろ覚えならぬうろ忘れ。で、評伝を手にした。

       

       ざっとおさらいすると、フランツ・ヨーゼフは長らく神聖ローマ帝国皇帝を務めたハプスブルク家の人である。帝国解体後、ハプスブルク家はオーストリア帝国の皇帝を名乗るようになる。ウィーンのイメージと相まって絢爛豪華な華麗なる一族といった趣も強いが、マリー・アントワネットのように非業の死を遂げた人もいる。それが王家の常といえばそうだが、ことフランツ・ヨーゼフの近辺は不幸な死が多い。


       まず弟マクシミリアン。ナポレオン3世の口車に乗せられ太陽の国の皇帝になれるぞひゃっほーいと大西洋を渡りメキシコ皇帝に就任。ところが現地政局は混乱の極みで、聞いてたのと違う!と困惑する。まるで南米に移民したかつての日本人のような辛酸であるが、マクシミリアンの場合は政治闘争に巻き込まれて銃殺刑になっておるから、貧乏くじの引かされ方がえぐい。損失補填を知らされないまま異例の大抜擢で社長になり涙の記者会見をやる羽目になった山一證券の最後の社長を思い出してしまった。
       もう一人の弟ルートヴィヒ。エルサレムに巡礼に行った際、何を思ったのかヨルダン川の水を飲んで感染症にかかってそのまま病没。何をしとるんだ。

       

       嫡子ルドルフ。匿名で政府批判の論説を寄稿する父子の相克の王道を行く青臭い熱血漢だったが、やがて精神が不安定となり、最後は身分の低い女性と心中。氏素性のよくわからん愛人とともに、というだけでなく、ローマ教皇との関係が密なごりごりカトリックの家なので自殺自体が御法度なので二重にスキャンダラスな死になる。仕事人間のフランツ・ヨーゼフは息子の不調を聞かされても「考えすぎだ」と一顧だにしなかったほど無関心だったといい、死の原因それだろ!とつい「元次官」の事件を思い出してしまった。

       

       妻エリーザベト。通常「エリザベート」と表記されるが、本書では「エリーザベト」。ドイツ語発音だとこの方が正確。若きフランツ・ヨーゼフが見合いに赴くと、相手の妹の方にぞっこん惚れてしまいそのまま結婚した。スピリチュアル風味漂うあやしげな健康法に凝ったり、ヨーロッパ中のあちこちに勝手気ままに飛び回ったり、それでも夫婦仲は円満という辺り、アキエの影がちらつく女性である。ただし皇后なのできっちり公人を自認。旅先で「高貴な人なら誰でもよかった」というテロリスト青年に刺殺される。現代日本で「誰でもよかった」と自供する殺人犯は決まって弱い相手を狙っているので供述は全く論理的ではないのだが、このテロ犯は少なくともその点は論理的。

       

       そしてシメが、水飲み男ルートヴィヒの息子にして、教科書に出てきた瞬間死んでいるでおなじみのフランツ・フェルディナンド。嫡男ルドルフの死により次期皇帝となるも、サラエボで暗殺される。警備が薄いと警告されていたのにそのまま視察を行って死に、第一次世界大戦のきっかけとなったから、まったくもって迷惑な御仁なのだが、最初のテロで大けがをした軍人の見舞いに行く途中でやられたという経緯だから、部下思いのいい上司とはいえる。

       

       確かに「俺、見捨てられてる」と思っても仕方のない悲惨な一族である。当人の死後即位した文字通り最後の皇帝カール1世(フランツ・フェルディナンドの甥)は、敗戦後、モロッコ沖のマディラ島に島流しになり、困窮生活の中30代で死去するからこちらも不幸な死に様である。元をたどるとサラエボ事件の後、セルビアに宣戦布告を決めたフランツ・ヨーゼフの判断が帝国の瓦解につながっているわけだから、最後の引金を引いたのも当人といえなくもない。ちなみにカール1世の妻は1989年まで生き、長男も2011年まで生きた。この長男オットーは欧州統合の提唱者として有名。

       

       


      新春

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         賀正。正月帰省。
         展覧会続きだったので、そこで買ったグッズを手土産にするも、義姉、姪には全くウケず。兄には三国志展で買ったフィギュアをあげたが、これだけウケた。

         

         箱入りで中身がわからない状態で売っていたので、2つ買って「好きな方をあげる」と選んでもらった。ウケていたのは義姉と姪の方で、兄は「しょーがねーやつだなー」くらいの顔をしていたが、いざ選んで開けると、「ちっ、呂布か」。それで残った方を俺が開けたら曹操が出てきて、兄は素朴な調子で「そっちの方がいいな」と漏らしていた。なんか子供のころを思い出した。
        姪が「これ(曹操)が主人公なん?」と聞いてきて、兄は「悪役やけど実質主人公みたいなもん」と答える。「じゃあこっち(呂布)は?」「そいつはむっちゃ強いけどアホ」。説明が雑!
         一応説明しておくと、展示もされていたNHKの人形劇のミニチュアである。あの人形の精巧な出来については以前書いたが、このフィギュアもなかなかよく出来ている。姪は曹操が手にしているのを斧だと思っていた。斧を持つ悪役にして実質主人公って、そりゃジェイソンだよ。
         「これは采配いうんや。采配を振るの采配や」
         「どっちも知らん」

         

         せっかくなので、ちゃちな合成写真とともに。背景は以前に行った瀋陽の史跡。清朝時代の建築なので時代考証まるはずれ。忠臣蔵のセットで「源氏物語」のロケ(よりも時代差があるが)をするようなものだが、それ以上に言われんとわからん。ちなみに横山三国志は、連載当初、日中間に国交がなかったので時代考証無視して想像で描いたと確か作者がどこかで打ち明けているのを読んだ記憶がある。実際、作中に辮髪の男性が描かれていたはず。

         

         義姉からは、姪の受験の小論文の面倒をみてくれまいかと頼まれたが、大学受験の小論文がどんなのか知らない。それでブックオフの初売りに行くという姪とともに赤本を物色しにいった。
         今時はもっとあちこちでやっているのかと思ったが、そうでもないようで、国公立の後期試験とか、一部に限られているのは自分のころとそう大差ない。だいたいこの辺だろうと検討づけた大学で実施していて、一応見ておくかと開いたところはあまりなかったから、20余年前の感覚がまだ通用して面白かった。そういえば俺も高校生のころ、Z会の小論文を受けたことがあった。順位が1ケタで、俺やっぱ文章書ける方なんやと思ったものだったが、後年、小論の添削のアルバイトに申し込んだら見事に落ちた。

         

         大学受験の小論文の問題は、俺が普段学生に出している課題と似ていて、へ〜と思った。自分なりに考えた課題のつもりだったが、学生にすれば「高校の小論対策でやらされたやつや」と思っていたのかもしれない。まあ、若い衆に「自身の考え」なるものを文章化させようとすると似たような発想にはなるいうことでっしゃろな。

         しかし解答例は……。こういう知ったような内容を、つたない文章でつづったものを何枚も何枚も読まされるのを想像するとなかなかの心労だ。大学側はこんなの本当に読みたいのかしら。

         

         遠方の親戚が家族あてにお年玉をくれたので、アードベッグのコーリーブレッカンとやらを購入。値段通り、高い酒の味がするけど、なんでこんなにアルコール度数高いの?


        今年も閉鎖(予定)劇場にて

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          スポットは画像加工の後付け。わざわざ吊ってもらったわけでも片付け忘れではないので念のため

           

           年末恒例「年一で演劇人ヅラする日」たる劇場主催の忘年会に出席。

           昨年は劇場閉館イベントとの抱き合わせ開催だった。今年も同社が運営する2号館(in→dependent theatre 2nd)が来夏に閉館(近場に移転)するとのことで、その2ndでの宴席となった。

           

           俺が舞台にかかわるようになった2002年当時、劇団ころがる石が積極的に出入りしていたのがこのインデペンデントシアターで、狭い空間が妙に居心地がよかったものだ。当時まだ20代だったプロデューサー氏の若さそのままの勢いも感じた劇場のようにも思うが、2年後には元の倍以上の広さと天井高がある2ndをオープンさせた。広い分、使用料金は高いし、使うときの準備が大変だし、立ったり座ったりして喋ってるだけの舞台に広さはあまり要らんし、そもそも俺らそんなに客こねーし!(電気グルーヴ「N.O.」の感じで読んでね)で、この2ndは大して利用してない。


           なんでも、開館当初から「2020年まで」という契約で、その満了に伴い移転ということだそう。30過ぎくらいで自意識年齢が止まっているせいで、2004年というのは個人的にはそんなに昔という印象もないのだが、「2004時点での2020年」を想像すると、ずいぶん未来の話に思えてくる。当時プロデューサー氏はどれほどの現実味を感じながら契約を交わしたのか、聞くのを忘れた。

           俺はというと、おそらく2004年段階で「2020年の自分」を想像したとき、何らかの成功を収めているか野垂れ死にしているかのどちらかを思い描いたのではないかというところだが、現実は何の成功もないし野垂れ死にもしていない。要するに何の変化もなく、ただ劇団活動だけが縁遠くなっている。
           プロデューサー氏は相変わらずのバンダナ眼鏡ヒゲの風体で新劇場の作業に追われている。更地からの新築になるので、何かと作業は大変そう。この日は搬入用エレベーターの手配がいかに難儀なのかという話を、これも相変わらずの甲高い声で面白おかしく語ってくれた。

           

           話が前後したが、宴席会場たるこの建物の1階が劇場(写真)。2階が楽屋とか事務所とか機材置き場とかになっていて、それでもスペースがふんだんにあるので、以前はこの年末の忘年会もこちらでやっていた。その後、元の狭い方(1st)が改装で炊事場等、使い勝手がよくなり、2ndでの忘年会は何年ぶりかといったところである。昨年はイベントと抱き合わせ開催だった分、最初から人が多かったが今年は例年通り、定刻にそろっているのは友人同士の忘年会程度の人数でしかなく、いわばただの倉庫みたいなところでこじんまりとしているから、雰囲気ではなく気温がなかなかに寒い。

           

           やがて三々五々人が増えだし、知り合い同士が「やあやあ」とあちこちで島を作り出し、大して知人のいない俺は、セントヘレナ島状態になる。この時点で普通は帰るはずだが、何の居心地の悪さも寂しさも感じることなく、ただ堂々と一人でいて平気なのだった。酔客でにぎわう立ち飲み屋で一人酒しているのと状況的にはかわらんからか。まあ、一人酒なんか全然しなくなったけど。


           そのうち例年この席でだけ毎回妙に話し込んでしまうT氏が現れ、例年なら「今年よかった映画」の話を当たり障りなくして終わりのところ、氏が最近熱心に取り組んでいる自主映画の話で盛り上がってしまい、終電を逃した。

           というのもT氏から「怪獣モノかゾンビモノ撮るとしたら、どんなんにする?」と聞かれ、「中共の工作」とか判で押したように同じことをいうリビジョニストゾンビとか、性犯罪に遭ったヒロインに「お前が誘った」とか責めてくる女性差別ゾンビとかじゃないすか、と答えたら「あんた最高やん!」と食いついてくるもんだからさ。演劇関係者だと「え?それ何の話なんすか??」くらいの反応も珍しくなく、バカ設定自主映画作るんなら現実にフック入れてナンボじゃん、という感覚もそんなに共感されなかったりするから、お、通じた、というのはまあ楽しいものだ。

           

           酒席で終電を逃すということ自体、ここ数年はとんと縁がないので、たまにはバチもあたらんだろうと特に罪悪感もない。でも朝まで飲み明かす元気もない(若いときからない)ので、さすがに辞去して酔い覚ましに歩いた。

           

           いろんな肌の色の外国人が結構いて、そこだけは2004年とはかなり様変わりした。あとタクシー乗り場に列ができていたのは意外。一応まだそれなりには忘年会をする人も、遅くまで飲酒するのもいるんだな。歩き出すとムキになって1時間超は粘った。それで適当にタクシーを拾ったら、「まだ道を覚え中なので」と格安にしてくれた。年の瀬のささやかなラッキー。ただし、歩いた割には期待するほど翌日の二日酔い改善には効果がないのは毎度のごとく。

           

          我らが劇団が2ndで公演したときの舞台美術の一部。コインロッカーから拳銃押収、というヤラセをやるはずが中から赤ん坊が出てくるというなかなか面白そうな話だったな。いや拳銃じゃなくて事件の証拠資料だったか。こうして収納棚に使われているのだが、新劇場移転に伴い廃棄となるか。


          兼業主夫の専業作家の人

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             特に行く気もないのに「今度一杯行きましょね」などとは言わないようにしている(相手がそういう外交辞令を言うてきたときは「是非」などと応じはするけど)。とはいえ、諸々の都合で結果的にそうなっているケースはある。

             

             友人が給与所得者を辞め、専業作家になったと年賀状で報告してきたのが2年前。それはぜひ祝杯をあげねば、などと応じながら、ズルズルとここに至り、はや今年も年末。いい加減、言いっぱなし状態が気持ち悪く、ちょうど氏の自宅近くに仕事で行く用事も重なり、この好機しかなかろう!と連絡を取った。

             

             久々の相手と連絡を取るときにはショートメールというのが昨今の定番だが、さっそく送ると「間違えてますよ」の返信。それでメールに「このアドレス生きてますか」と間抜けな内容を疑心暗鬼送信すると無事連絡がついたわけだが、多くの知人にとっては「お前が生きてるかどうかを問うな」というのが率直なところだろうと思う。ついでに「電話番号変わってないけど」と呆れられてしまった。だとすると、登録間違いでどこかの知らない人に届いた可能性は無論のこと、届いた相手は「すっかり音信不通になったうっすら知ってる間柄の人」の可能性もあるのかも。余計気まずい。


             さてすでに述べたように、出版不況どころか、ビジネスモデル自体が崩壊してきており、大手すら差別的な駄文を掲載して売れるどころか廃刊、みたいな目も当てられぬ状況にある昨今、専業作家というのは「おもちゃ屋で生計立ててます」くらいレアなケースに思えてしまう。

             当然、恐ろしい勢いで新作を書き続けないといけないから、売れる売れないもさることながら、書き上げる実作業もユーチューバーばりのハイペースが求められる。聞けば今年だけで10冊というから、これだけでトマス・ハリスの全著作の倍近い。まあ全部がオリジナルというわけではなく、既存作品のノベライズ等、下請け的な仕事も含まれるそうだが、それにしても相当だ。


             実際、この日会う前に近況を予習しておこうと本屋に寄ったら、彼の新刊が棚に正面向きで詰め込んであった。「多分、今日発売」との由。出版社側から「こういうアイデアで」と頼まれて書いた作品なので「いやあキツかった」と、すっかり言うことがプロのそれである。

             

             俺はというと、何も書きあげられないまま4年くらいたってしまい、大御所洋楽ミュージシャン並みの空白である。フィクション以外の文章、つまり新聞記事とか学術論文とか社内報とかを書いている知人ならそれなりの数いるけど、フィクション書きは趣味レベルの人を含めても彼以外あんまり見当たらない。舞台の台本書きの知人は、今は書いてないか、付き合いが途絶えているかの心当たりしかないが、そもそもなぜだか舞台の人間と脚本についてあまり話したことがない。

             彼とは、舞台で脚本を書いていたころも、ざざっと目を通してもらって感想を聞いたりしていたこともあり、付き合いも長いし、気安い関係ではある。というわけで、自身の停滞している作品について、あれこれ助言を聞いた。ひとつだけ書いておくと、「そこまで詰まってるんなら、捨てるか思い切り変えてしまえ。その方が結果的に早い」とのことで、まあそうなるよね。



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