公演迫る

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     京都公演まで一週間を切りまして、こんなに仕上がっていいのだろうか!というくらい仕上がっております。  今回の作品は、新聞記者と刑事が登場します。新聞記者は「マル特ロストワールド」以来、刑事がマトモに登場するのは「裏切りの犬」以来です。裏切りの犬ったって、知ってるのは今回の出演者の中でも極僅か。結構遠い以前の話です。というのも僕が会社員を辞めて初めて書いた台本なのでして、古いのも当然。「何やかし言うてあれが一番おもろかった」と周囲からそんな声をチラホラ聞くこともしばしばですが、何やかし謎をチラつかせながら刑事たちがギスギスした会話を繰り広げるのは、古典的な物語の修辞法ですからね。ウケやすいんだと思います。サスペンスというかハードボイルドというか、ジャンルわけはよくわかりませんが、こういう男根主義的世界って、つい格好つけすぎて見ているこっちは辛い、という残念な結果に陥ることもしばしばで注意が必要なのですが、そこら辺はご心配なく。得意分野ですから。ええ。  最近は社会派な要素を盛り込むのが流行りなんでしょうか。舞台のチラシを見ていても、そういうのがチラホラ見当たります。リアル新聞記者が登場しますんで、なるべくコムツカシクはならないようにはしてますが、当然、そういう社会派な要素は出てまいります。前からの傾向ではありますが、気付いたら流行の中にいた、みたいなもんですか。格の違いをお見せしましょう。得意分野ですから。ええ。    さて「デジタル銀幕フィルモグラフィ」のDVDチェックも終わり、自分自身の演技に表情がゆがんでいるところです。どうしても台本、演出に加え、裏方のあれやこれや作業をこなしている立場なんで、自分の演技に取り掛かるのは最後になってしまう。そ、それがこういう結果になるのか、と今更反省して、ただいま部屋で一人で今作の演技の練習をしております。「デジタル」のときは、自分が楽な役にしとこうと台本を書いたのが何よりもいかん部分ですね。自分で楽な役だと思ってる役ほどシンドイものはない。そこへいくと、今作は芝居がかった役ですからね。一所懸命背伸びしてやらないと無理。そのほうがでも、結果的には楽なんだろうなあと思います。  あ、いかんいかん、今作のDVD制作の段取りを考えないと…。

    台詞のベクトル

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       前作、といっても昨年ですが、「デジタル銀幕フィルモグラフィ」のDVDの編集チェック中。file#12「復讐屋」から始めたDVD制作だけど、これで10本目となります。結構作ったもんだなあ。

       この舞台は、今回大阪で上映する映画制作のために購入した高性能なマイクがまだないころの撮影だったので、改めてマイクの偉大さを確認する。マイクが違うと役者の発する言葉が、単なる「声」か「台詞」かっていうくらい違います。

       「デジタル銀幕〜」と一週間後に上演となる「僕らの時代と〜」は出演者が結構同じなんですが、久々に「デジタル銀幕」を見ると、役者がちゃんと今作とは違う人間を演じているのがわかって、おお〜みんな役者さんだなあと阿呆みたいな感慨を覚える。

       この「デジタル銀幕〜」はあまねくウケるを目標にして台本を書いた作品で、有難いことに結構な好評をもらったんだけど、改めて見ると甘い部分が多々見受けられる。最近ようやくわかってきたんだけど、台本を書く上で、一個一個の台詞は物語の大きな流れに大体沿ったベクトルじゃ駄目なようで、正確に沿ったベクトルじゃないと伝わるものも伝わらないということだ。特に今作「僕らの〜」は(なるべく単純にしようと思いつつ)筋が結構複雑で、なるたけわかりやすくわかりやすくと台本を改変して、現在はよりわかりよくするため演技の種類を調整する作業が続いている。

       一体僕がどれだけこの辺のテクニックを体得できているかは怪しいものだが、少なくとも一年前よりはマシになったのだろう。「この台詞、これじゃわかりにくいよなあ」と舌打しながらDVDのチェックを進めている。一枚1000円です。そうはいっても面白いですよ。

      才人だらけだ

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         改めて述べると我が劇団ころがる石が劇中使う音楽は、全部中野貴志君によるオリジナルである。フランク・ザッパのアルバムに「黙ってギターを弾いてくれ」というタイトルの作品があるが、中野君はまさに「黙ってギターを弾いている」寡黙な男である。寡黙な男だけに彼と付き合うようになる前の生い立ちなどなどはちっとも知らない。せいぜい偽ジョニー・サンダースみたいな活発なファッションをした旧友がいるというくらいである。なので何食って育ったからそうなったのか判らないんだが、とにかく彼の作曲の引き出しは数が多い。

         オリジナル音源の使用ということであれば、ONE WAY TRIPとか、身近なところでも珍しくなくいる。その音楽を毎度作っているジュン君はギターの腕前ということであれば多分中野君より上手いんじゃないかと思う。だけど中野君は音楽全般何でも作れるのがスバラシイ。昔「ニュースな女」という一人芝居をやったとき、「地方テレビ局の夕方ニュース番組のオープニングっぽい曲を作ってくれ」と頼んだら黙ってそれが出てきた。

         今回の作品は、1974の話と2004年の話が平行して進む構成になっている。1974年の話ではジャズ、2004年の話はジャズテクノが黙って出来上がってきた。なかなかクールな出来栄えで、そこらへんも注目(注耳?)してくださいませ。

         加えて今回は、役者のココロさんが話の中でドラムを叩くシーンが何度かある。彼はドラマーでもある。話の構成上、タイコの数がやけに少ないドラムを自在に叩く。これまたストーリーとは別に普通に見てて楽しいシーンであり、楽しみにしていただきたし。余談だが映画の中ではココロさんは料理をしている。彼は料理人でもある。役者の特技におんぶに抱っこな台本を書くワタクシである。

         そして荒木道成演じる片山も劇中、弾き語りをするシーンがある。「デジタル銀幕フィルモグラフィ」で彼が演じた中井戸という「素人にはついていけない曲を弾き語る男」のシーンがやけに楽しかったので、今回もつい悪乗りで片山は新聞記者なのに弾き語りをする。僕が台本段階でテキトーに書いた歌詞を一言一句変えずに見事尾崎豊風に仕立て上げてくれた。題して「裏金の歌」。記者なので当然社会派な作風である。

         加えて不肖・ワタクシもベースを弾く。そのために知り合いからわざわざフェンダーのベースを借りてきた。楽器が高級になれば多少救われるのではないかという浅はかな発想、ではなくて、時代設定上、僕のベースは合わないからだ。といっても僕がかつて高松市屋島西町の中古屋で買った3万数千円のグレコに比べ、フェンダーのベースはいい。確かに楽器が高級だと色々解決されることがあるのだと知りました。 余談ですが、今回豪腕な刑事を演じる浦田克昭さんには、映画の中でベースを弾いて貰ってる。彼はベーシストではない。即席で練習してもらったという荒業である。役者の人って凄いなあ。

        ごめんとありがとう

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           仕事が10時過ぎに終わり、あれもこれも山積みなんだけど、学生バイトのテラオカとついつい軽く飲みに行く。最早年の瀬、飲み屋は結構一杯で、たどりついたねずみがチョロチョロしてるチェーンの餃子屋で飲んでいると、有線から懐かしいというか珍しい歌が流れている。学生君は当然知らない。レッドウオリヤーズの「バラとワイン」である。曲調は売れ筋の名曲なんだけど、運が悪かったのか売れなくて、結局「隠れた名曲」のアーカイブ入りである。  さてこの仕事では学生と話すことが多いんだが、今の大学生はとてもキレイな価値観で生きているのに、よく驚かされる。知り合いはそれを「いい子病」と呼ぶが、確かに病と呼びたくなるほど、不健全なものを感じてしまうことも多い。一緒に飲んでいたテラオカは、就職活動の面接でも平気で嘘を言う至って普通の若者なんだが、彼が特殊に見えてしまうほどである。  週刊誌で井筒和幸が映画「恋空」を「ごめん」と「ありがとう」だけで構成されてる話と指摘していた。なるほどなあ。そういう映画がヒットしてしまう世の中は不幸である。  というわけで僕はチンケに抗う。今回の台本も勝者はいない。チラシにも書いた。0勝1敗1引き分け、それが日々のロマンというやつだ。そんな話のどこが面白いのか。それを面白いと思ってもらわないといけない何かを背負ってるんだ、とチンケな僕は一人勝手にそう意気込む。

          長い

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             公演が近づいてきて、稽古場の温度もあがっております。別に張り詰めたムードとかそういうのではありません。何事も切羽詰ったときにピリピリしがちですが、ピリピリするのは案外簡単な割には特に何も生み出さないので、そういう空気は嫌いです。(自分ではそう思ってるんだけど、小屋に入ると「声をかけづらい雰囲気」になるらしい。人間ができておりません)。明るく厳しく。それが理想です。そんでそういう空気で現在推移しております。  本日は二度目の通し。頭から尻まで一気にやってみる練習です。今回の台本はいつもに増していろんな話がぶつ切りで転換して紡がれていくという、一見舞台ではNGの構成をバンバン使用してるんで、全体の流れを把握しておく必要性が高いのです。  そしてまだ二時間超えです。前にも書きましたが、二時間超えるとお客にとってはそれだけでしんどいので、かえって勿体無い。なので削ります。異能の役者・竹越君のあれやこれやの面白いコネタもいくつか没になるでしょう。すいません。  一方、自分の役というのもいいかげんどうにかしていかないといけません。僕は特段優れた役者でもなんでもないので、脚本・演出・主演・俺という劇団俺俺な存在にはなれてませんで、かといって「別に出んでええやろ」という超端役で出演する、大物演出家みたいな出方も好きではありません。というわけで、サッカーで言うとFWの左前とか、そないに目立たないけど忙しいというような位置を担うようにしてます。今回の役は刑事です。自分で書いたんだけど、芝居がかったせりふが多くてやっかいです。ひねたフレッシュマンの上地宏到君と、クールな梅田裕介君、腕っ節浦田克明さんの男性ホルモン4人で全然仲の良くない刑事をやります。笑いが一切なくて、ひたすらシリアスなのは、やってて楽しいですけどね。


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