早速の撮影

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     居酒屋での撮影。昨日の今日で役者の都合もついたので早速の撮影となった。分量的には全然たいしたことはないので、1時間強で済んだのだが、それでも撮影となると雰囲気は大げさになるものだ。客が一組遠慮して帰ってしまったくらいなんで、やっぱり出先で撮影するのは大変である。

     森本さん演じる登場人物が、酔った勢いで電話の向こうの相手にクダを巻くというシーン。1人でクダまいて喋ればいいので、それだけ取れば済む話なのだが、こういう場合、その主役意外の背景となる人間(この場合居酒屋のその他の客=エキストラ)が画面内に映りこんで、ある程度動きを見せると画面に奥行きが出て締まってくる。エキストラの動きは、このクダを巻いてる主役とは何の関連性もなく、ストーリーにも何も影響しない。つまり全然別の位相を生きてる。そのくせ同じフレームに収まっている。3Dの意味だけでなく、いろんな人間がおるという立体感とでも言おうか。

     それで、矛盾したようにも聞こえるが、主役の動きとカメラの動きに連動する格好でエキストラが動くとさらに映画臭くなる。例えば主役が目線を動かす。それにあわせてカメラが横に振れる。それにあわせて、奥の客がビールを頼む、という具合だ。主役の目線の動きと、客のビールには何の関連性もない。何の関連性もないんだが、カメラの物理的な動きとタイミングをあわせた方が何かと映画っぽい雰囲気になるようなのだ。まあそんだけ世の中の映画は画面の端まで作り込みで出来てるってことですね。

     そんなわけで、エキストラで来てくれたサミー、サミーの友人のドイツ語通訳の人、クガ君に吉岡に、あれやこれやと注文をつけて何度もやってもらった。特に騙まし討ちのように呼び出されたのに、あまり戸惑うこともなく応じてくれたサミーの友人氏、ありがとうございました。

    喋りすぎの出会い

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       本日画家と出会ったという話。
       今回の映画の中で、絵が小道具として登場するシーンがある。映像一発で色んなことを説明してしまうという、映画ならではの話の転がし方というのをやってみたいからだ。前作は演劇を映像にはめ込もうとするばかりで、映像から展開を発想することが全くなかった。

       というわけでストーリーに沿ったモチーフの絵を用意しないといけないのであるが、一体誰が書くねんという、アテもなく台本に書いてしまった小道具に頭を悩ませる羽目になった。
       舞台だったら、そこそこ絵が描ける人間(役者には絵が描ける人が多い)にそれっぽく書いてもらえば小道具として成立するかもしれないが、映画となると、やっぱりしっかりしたものとそうでないものとでは、訴えかける力が格段に違うはず。見てるほうがいかにオトナな姿勢で寛容になろうとしても、違和感を感じた場合、それを払拭するのはなかなか困難なものである。

       ところが知り合いの居酒屋で、求めていたタッチの絵を見かけてしまったのである。早速店主を通じて連絡先を確認してもらって、出会うことができたのが光内さんである。
       電話でストーリーの概要と絵の役割についてまくしたて、描いてもらった絵がついに完成、受け渡しのこの日が実は初対面となった。

       絵の完成度は申し分ない。あとは役者の演技とカメラワークと役者の演技と音楽と役者の演技がかみ合えば、私の皮算用では観客は涙するシーンとなるに違いない。電話でまくしたてただけなのにこのデキ、世の中には凄い人がまだまだいくらでもいるということか・・・・・・、と前向きなことを考えつつ、小心なワタクシはソワソワしていた。一体いくら払えばいいんだ!

       「画用紙に描く場合は、一律**円なので」と、光内さんはあっさりの対応(ちなみに「助かります」という金額だった)
       いかにも画家という物腰柔らかな人で、銀座の画廊なんかで個展を開いているらしい。知り合いに別の絵描きがいるので、その世界の大まかな仕組みを聞きかじってはいる。俺の理解だと、「画家」と堂々と名乗れるステージにいるという立場だ。
       「文化活動は何でも東京やなあ」という話に始まり、絵描きの世界も小劇場の世界も、変なやつがようさんおるなあという笑い話、画家ならではの、いやしかしどんな世界にも当てはまる悩みの話などなど、興味深い話題に満ちた1時間だった。

       いずれにせよ、作品が金になるというのは、それによってまた新たな悩みが生まれるにせよ、今のところそこにすら至ってない俺としては羨ましいなあと思う。そして彼の絵がもっとたくさんの人の目に触れたらいいなあと外交辞令ではなく、思う次第である。

       こういう別分野で活躍してる人と出会うのは、新鮮な刺激があって、ある意味芝居人以上に楽しい出会いでもある。
       しかし彼のような話しやすい人と出会うと、俺はついつい多弁になるといういつもの悪い癖が出てしまう。いかん!

       その後、定宿の居酒屋アジトで、撮影の許可を求めると、「楽しそうだなあ」と大歓迎でOKしてくれた。居合わせたお客がやけに人なつっこい人で、その人、UDさんが妙にビールを一杯二杯とおごってくれるので、飲みすぎた。


      JETのライブ

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         バンドの練習が終わってガヤガヤしているところに会社員時代の後輩から電話がかかってくる。「飲んでるんすか」
        「いや、バンドの練習が終わったとこ」
        「…若いですね」

         そうさ俺は若い。この日の練習で「髪の毛少なくなりましたねえ」などとシミジミ言われたが、若い。なぜならロックンロールを信じているからだ。

         この後輩、間もなく海外へ出張に行くという。会社員が羨ましくなる一コマであるが、去る人あらば来る人あり。彼の行き先であるオーストラリアから、汗臭い男たちがライブにやってきた。JETである。この男たちも若い。なぜならロックンロールを演奏しているからだ。

         JETといえば、日本ではipodのCM曲、というよりは芸人が世界一に輝いたエアギターで“演奏”していたあの曲で知られる。21世紀にもなって歌詞が「ワンツースリー」だの「フォーファイブシックス」だの言ってるやけにゴキゲンな古臭いロケンロールを何のてらいもなくやってのけて、一気にブレイクした。私事を交えれば我らがバンドで最初にコピーしたのもその曲である。

         そんなJETが昨秋出した久々の新譜「SHINE ON」のツアーで大阪にやってきたので、喜び勇んで行って来たというわけだ。DVDでライブを見たことがあるが、生は初めてである。

         結論から言うと最近すっかりご無沙汰だった「ライブでアドレナリン」というのをたっぷり満喫できたすばらしい演奏だった。
        「SHINE ON」というアルバムは、雑誌ではやたら褒め称えられていたが、前作の「GET BORN」に比べると、若さに任せてロックンロールみたいな要素が削ぎ落とされて、評論家受けはいいが不満がないといえば嘘になるという内容だった。しかしライブで聴いた新譜の曲はいずれも格好よく跳ねて響いて、「ライブバンド」なんていう知ったようなことを言いたくなるパフォーマンスだった。同じく我がバンドでコピーしている「Get me outta here」なんて、「へえこんな曲だったんだ」と知らない曲を聴かされてる気分にすら陥ってしまった。

         加えてこのバンドのメンバーは、写真で見ると見てくれはちっともイケてないのだが、舞台上の佇まいは、DVDで見たときより風格も備わり、堂々かつセクシーで、交換留学生みたいなベースの半デブも突っ込み無用に格好よかった。せいぜい言えばドラムの巨漢が前に出てきて歌うのは、どこかコント臭が漂うのでやっぱりやめたほうがいいと思うというくらいだ。

         勢いを売りにした轟音8ビートは歳のせいか退屈にすら響いてくるようになってしまった。JETがスリリングなのは、アンサンブルがしっかりしているところが一つ。単純な話、どこで何の楽器がなっているかしっかり聞き分けられる。ボーカルもかき消されることなくしっかり聞こえる。それぞれのパーツの組み立てとして曲がちゃんと耳に届くというわけだ。

         もう一つはブレイクの作り方が上手いということ。ドラムが曲作りの中心だからかどうなのか、ドカン、ピタッ、というリズムのアクセントがとても気持ちいいのだ。確かなスキルに支えられた熱い曲を延々演奏し続けるところはブルースエクスプロージョン(BX)のライブにも似た緊張があったが、BXのライブが余所見したら死ぬみたいな張り詰めた緊張がもたらす快楽なのに比べ、JETの場合は緊張でもって単純さを現しているところが、わーいと楽しめるライブになっているのだと思う。

         JETの曲はロックの原点回帰といった原始さに魅力を見出されているのだが、確かにこれまでのロックの歴史の蓄積をデータベースのように駆使して作ったような曲にあふれている。リードギターはコロコロとギターの見本市のように何種類ものギターをとっかえひっかえ使っていたが、JET自体がロックの見本市のようなものだと言える。

        奈良終了

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           奈良での撮影がとりあえず終了した。役者も半数が上がりである。舞台の場合は出番の多寡にかかわらず公演の楽日で全員同時に終わりを迎えるという何やら大団円的な性格があるんだが、映画の場合は出番の撮影が終われば個々にクランクアップになるので、学校と自動車学校みたいな違いがある。全員で一斉に卒業することはない。俺は元々打ち上げの飲み会がそれほど好きなタチではないが、どこか寂しいのは否といえば嘘になる。

           しかし「終わったも同然」というわけではなくて、残り、長さだけでいえば2、3割程度の部分は、屋外のロケが中心で、天候に左右されるなどの面倒が多く、かつ撮影側にしてみれば楽しいものが残っている。
           例えば風景を撮るとか、努力ではどうにもならない要素(天気とか)を上手く切り取れると、映画としての出来栄えがググっと上がるだろうから、緊張してくる。

           週刊現代で井筒和幸が現在、撮影裏話のようなコラムを連載しているが、こういう努力ではどうにもならない要素を「映画の神様」と呼んでいた。なるほどいい言葉だ。運任せでかつ、最後は自分に味方してくれそうな響きを持ってるからだ。

           神様といえば、撮影が始まってから小さく変なことが続いてた。
           くしゃみが止まらなくなった人、熱を出す人、調子が狂った機材。俺はポケットの中が急に熱くなって火傷寸前になった。無造作に突っ込んだ硬貨やカギが、皮脂や汗で発電したんじゃないかと化学教師の石川氏は推量するが、そんなことあるんすかね。あと、朝飯代わりにアイスを食うやつがいたな…。向井のことだが。これは変なことというやり変な嗜好か。

           こうなると、周囲では当然のように「いる」とか「いない」とかいう話になるんだが、いるのは映画の神様だけで十分である。

            さて今回は編集の向井の努力により、撮り終わったカットはすでに粗編集として仕上がっている。取り合えずザザっと見たのだが、今後編集をさらにつめていくことでかなり面白いモノに仕上がっていきそうな可能性を十分感じる。

           何せ前作の編集は、「せめて見られるものにしよう」という実にネガティブな作業だったもので、いわば気分は正反対である。弾みをつけて、残りに挑んでいくとしよう。多分、映画の神様はこっちについている。なんせ自主映画ですから。小指のさきっちょくらい動かす程度に味方してくれれば十分でござんす。


          連休の撮影

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              連休も終わり、久方ぶりに自宅に帰ってきた。暦通り3日間撮影して、間を置いて4日間。去年は一週間ぶっ通しの撮影だったのでそれよりかははるかにマシだが、それでも本日食欲の湧かない体は晩飯に何を欲したかというとモスバーガーという、世の中には他にバテた体向きの食材がいくらでもあるだろうにというチョイスのマズさが露呈した疲れっぷりである。マスカラしてるわけでも当然ないのに目の周りはパンダメイクだ。

             大型連休ないしは黄金週間という帝王切開ばりにタイソウな呼び名のつくこの時期、その昔は4日が平日かつ土曜が半ドンだったので年によっては連休でもなんでもなくて「連休」という言葉にマヤカシ臭いものを感じたのであるが、休んだり出勤したりの繰り返しだった当時の方が変に気分のぬるさは今より高くてある意味ゴールデンだったのではないだろうか。阪神高速の港町付近のインディアナポリスばりの傾斜のカーブで渋滞に巻き込まれ、斜めな状態がしばし続いた俺はそんなことをボーっと考えたのである。

             これが3日の朝の話なのだが、時間はタランティーノばりにさかのぼって1日の話である。

             前作で撮影したミニDVテープは計14本(14時間)だった。作品の尺は110分。2時間足らずに14時間という比率が多いのか少ないのかよくわからないと去年書いたに記憶してるが、どうやら「少ない」というのが正解のようで今作の撮影は既に10本パックを使い切ってしまっていた。

             4連休を前にテープを仕入れなければならない。そしてそれなりに値が張るミニDVは、日本橋の「たにがわでんき」が最も安いともっぱらの評判で、確かに安い。何でこんなことが可能なのか商売人の息子ではない俺にはその辺の流通マジックがよくわからないが、カツカツの制作費にあっては削れる出費は削らねばならぬ。

             とはいえ日本橋でんでんタウンの店は7時から8時の間に軒並み締まる。そしてこの日、間の悪いことに仕事が多くてなかなか終われない。明日にするかと思ったが、嫌な予感がして調べてみたら、案の定2日水曜は定休日である。というわけで7時10分くらいに職場を出て、営業時間終了まであと20分という中、俺のアドレスV100は加藤大治郎ばりに激走したのである。

             蛍の光が流れる店にギリギリ滑り込んだ俺は、テープの種類を選ぶ余裕もなく10本パックを購入したわけだが、この値段の差とテープのデキはどう関連するのかこれまたよくわからない。高いテープにして何かいいことがあるのならそうするが、メタルのカセットテープじゃあるまいし、デジタル方式でどんな差が出るのか誰かご教示いただきたいものである。

             4連休の初日、目白押しの撮影スケジュールの最初はロックである。前作は舞台の焼き直し台本だったため、実質映画の脚本を初めて書いたことになる今作は、何かというと「物」に頼る。

             順次紹介していくが、この日はギターとベースである。阿形ゆうべ演じる登場人物の一人が、バンドの方針をめぐってメンバーと対立するという、何の映画やねんという場面だ。喧嘩の相手はこのシーンのみ登場のちょっとした役で、演じるのは浦田克昭である。
             前作では免許もないのに車に乗り込み(無論、運転はしてない)、今作では弾けないベースを無理矢理練習してもらった。方言のこともあり、当初は自分で演じればいいかと思っていたが、田舎でデカイ顔をしているミュージシャンという、ともすれば痛々しいキャラ設定なだけに、自分でやると無駄に露悪的になるかと懸念し、日本晴れキャラの浦田さんに依頼することで、その辺の危険性の中和を図ったというわけだ。

             この際衣装からしてベタにしてやろうと、俺が持っている痛々しい革ジャンと痛々しいサングラスも着用してもらった。なぜそんなものを持っているかといえば、日本語には便利な言葉があって、それを若気の至りという。

             これを、別の舞台の絡みもあって現在髪が長い浦田さんに着用してもらうと、マーキーラモーンの偽者のような雰囲気に仕上がって、なかなか見ものである。残念ながら時間が押し気味だったので写真はない。

             このシーンの撮影を終えて、時刻は日没間近。映画撮影は百姓のように天気や時刻に囚われる。この中途半端な時間をどう利用するかということで、今度は阿形ゆうべ演じるキャラが一人で弾き語りをしているシーンの撮影に入る。

             このシーンは特に時間指定がなく、前後の時間軸のつながりも希薄なので、要はどういう時間帯に撮ってもいいシーンなのだ。夕方なので、いっそ窓辺からハロゲンランプをたいてやると、これが見事に夕日になった。照明の話はまた別途やりたいところだが、画面の中で光の方向性が見て取れるように照明をたくとおのずと雰囲気が出るということを最近学んだので、やってみたというわけだ。窓から差し込む光のフリをしてオレンジの照明をたく。たったこれだけで雰囲気が出るのである。

             肝心の歌の方であるが、たまたまこの日は、ころがる石の音源にして直列6気筒エノモトのギタリスト・中野先生が見学に来ていたので、彼のアドバイスもありなかなか素敵な仕上がりになった。「もうちょっとパッショナブルに」とかしか言えない私の注文を「2拍目を強調して」などと具体的技術論に翻訳してくれるこういう人の存在は話が早くなるので有難い。文系脳より理系脳みたいな話か。雰囲気というのは結構技術論によって解析することができるというお話である。



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