SIGHT

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      雑誌はなるべく買わないようにしている。歯止めが利かなくなるからだ。本来なら大リーグオタク雑誌「スラッガー」は毎月買いたいし、フライデーや週刊文春がいい記事書いてたら買ってあげたくなる。大人ですから。しかしそんな勢いだと気がついたら「今月雑誌だけで1万超えた」と、花田勝みたいになりそうなので、すいませんが立位閲覧で済まさせていただいとります。

     それでも買ってしまったのが「SIGHT」。もともとは「藤原帰一も出て来る表紙のカッコいいロック雑誌」みたいなノリで、ロックの反権力志向の延長でリベラル論客が難しい話もしてるという内容だったのだが、今年からリニューアルして総合誌になった。総合誌ってのは「文藝春秋」とか「現代」とか「世界」とか、いわば雑誌の世界ではすっかり日の当たらなくなった“ダッサい”雑誌のことで、SIGHTもサイズダウンして白黒ページだらけ、文字だらけになった。社長がいきなり社会貢献に目覚めてとち狂った経営転換したみたいにも見えるけど、今のところその心意気やよしという内容だと思う。藤原帰一に頼りすぎな気もするけど、文字読んでてスリリングな面白さを得られる珍しい雑誌なんではなかろうか。月刊ですらないので財布もあんまり気にしなくていいし・・・。

     今号は憲法9条の特集。ここまで雑誌に触れておいて、ここから先は私の勝手な意見である。憲法9条というのは、多分讃岐うどんみたいなものである。仕事で香川にいたころ「香川=うどん」という図式に飽き飽きしているという地元民の意見を若い世代を中心によく耳にしたものであるが、爆発ブームが訪れたの割と最近のことだ。地元の人間は地元のよさを知らない。大阪人は普段から普通にうまいお好み焼きを食ってるので、そのありがたみを知らない。福井県民はえいやで馬鹿高い越前ガニを買うより安物で食卓をにぎわすことを選ぶので、本気の越前ガニはむしろ県外客の方が食っている。理由は色々だが、とにかくそういうものだ。
     都会で讃岐うどんを売るなら、かけうどんだとダサいから売れないだろう、じゃあ海鮮サラダ讃岐うどんなんて開発してみました、っていうね、いらないセンスのなさを働かせてるようなもんじゃないかと憲法9条については思うんだが。

    マックのソフトか

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        バンドの日。前回とは打って変わって欠席者が多くちょっと寂しいスタジオだったが、この日は迷走続いていた「フロム本町トゥ・ロックンロールストリート」という曲がようやく目処がついてきた。俺が人生で始めて作曲したパクリロックだけど、今年の初めにバンドに持ち込んで以来、編曲がちっともうまくいかず危うくお蔵入りになるところだった。多分プロのミュージシャンはこういう曲がわんさとあって、薬や酒で死んだ後にドサっと発売されるんだろう。

       なんにしろまとまってきてよかった。「ルート1」に引き続き、俺も結構アイデアを出せたんだけど、むしろ俺がフィーリングで、「ここでドラムがドンドドドンみたいな」とか「ギターがズッチャッチャーとか」などと口にしたことが、すぐ形になってでてくるココロさんや中野君がマックのソフトみたいですごいという話である。

       ついでにデジタル銀幕の舞台用に中野君が作った曲「trick」をバンド仕様に作り直しもした。こっちはまさしく中野君がマックで好き放題作ったので、現実的には腕2本では足らない数を叩いている。阿修羅マンでないとたたけない。ま、ライブ当日には、ココロさんの背後に知らないやつが2人控えてたたくことになると思います。

      裾野

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          地下鉄に乗ったらば2mくらいの黒人が5人もいた。戸惑うというかただ圧倒されるというか、でお前ら誰やねんというか。よくよく見ればジャージに「bj」の文字。バスケのbjリーグに今季から加入した高松ファイブアローズの選手のようである。

         電車の椅子に座ると、常人なら上体と90度になる大腿部が60度くらいの急角度で折れていて、膝頭が高い高い。座ってるのに普通につり革つかまってるし。彼らが猛烈にチェックしてくるのかと考えると相撲じゃないかと思えてくる。しかしよくよく考えればそんな堂々たる体躯の彼らもNBAの選手には多分ちっとも敵わないんだろう。スポーツ選手の裾野から頂点は想像すると気が遠くなる。

         地下鉄で向かった先は天王寺。ころがる石でもおなじみの悟さんがその昔世話になった石田章監督という人らによる自主上映会のようなものがあり、どんなものかと覗いてみたというわけだ。

         全然知らずに暇つぶし気分くらいで寄ってみたんだけど、もう一人の安田真奈監督いう人は「幸福のスイッチ」なんて、私でも知ってる映画の監督ではないか。こんな監督の昔昔の短い映画の上映会が、街角の狭い場所で開かれてるなんて何だか都会っぽくていいですね、と、暇つぶしという動機を隠して拝見した。

         短い作品ばかりなのでじゃんじゃん上映されるんだけど、安田監督が10年前に撮ったという会社の新人研修を題材にした作品はなかなかすばらしい作品だった。研修中の主人公の同僚の一人に、その会社の元課長で先ごろ事故で死んだおっさんの霊が憑依するという設定で、こう書くと何だかドタバタみたいだけど、バブル崩壊後の会社幻想が崩れてしまった世代と、バリバリ仕事人間のオッサンの価値観が、どちらに組することなく丁寧に描かれ、両者の歩み寄りも自然な感じで組み立てられてて、いい台本だった。

         8ミリなので映像は荒っぽいし、音声も聞き取りにくいし、大学内とかで撮ったのだろうか、会社の社屋というにはちょっと無理もある絵だったけど、話に引き込まれ、そこら辺の粗さは大して気にならなかった。今の俺とそう変わらない環境で撮っただろうから、発奮材料になった。この作品自体はまだ映画の世界の中では裾野に位置していたんだろうけど、上への登山道はつながってるんだ、といいますか。余談中の余談だけど、この映画に、予備校で一緒だった女性が出演してた。全然友達でもなかったから微妙な感慨でしたけど。

         悟さんの若かりしころの出演ドラマも拝見して、芸能人お宝映像みたいな無責任な笑いを頂戴しまして、あわてて中座。友人の緑川君の結婚二次会のため堀江に向かった。安田監督が大学でカメラを回していたころ、俺はヘッタクソの台本を学生劇団で書いていたが、彼は同じくその劇団で、どこぞの賞を取るような出来のいい台本をすでに書いていた。それで今は小説を出版している。こうなると、ある単純な真理がすぐに導け出せそうだが、話は結婚式に戻す。

         この夫婦は結婚前の昨年にわれらがエノモトのカウントダウンライブにも来てくれた奇特なカップルである。で、この二人、新郎はピアノ、新婦はバイオリンが弾けて、情熱大陸の曲を披露してた。結婚式にアリガチな出席者の微妙な笑顔に包まれる演奏ではなく、普通にうまかった。なんて洒落たカップルだ!欧米か!というか、彼らの前で演奏した自分が随分と恥ずかしくなった。

         終わって同席していた向山や河崎たちと梅田のバッティングセンターになぜか行く。バッセンで元野球部の人間をみると、スイングが全然違うことに感動させられるものだけど、これまた「裾野」だ。プロ野球で、普段選手をヘタクソとかなじってるみてるのに、自分の周りにいる経験者を見るだけで急に雲の上を仰ぐような気分になる。

         帰りの電車で、どうやらバンドを組んでるらしい60前くらいのオッサン数名が会話してて、「曲をどんどん粗製濫造していきましょう」とか方向性を確認しあってる。30年後のエノモトか?これまた裾野。エノモトは日曜登山家の端くれみたいなもんだが、それでも山には登ってる。それなりに景色のいいところに立ってみたいものだ。

        リトビネンコと寿司カフェ

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            ロシアの元スパイという人が、毒殺されたと連日ニュースでやっている。小説かハリウッド映画みたいな話だから興味をそそるんだろうけど、あれは特殊な国がやっていること、では決してないんじゃないだろうか。

           自分に批判的な人間を殺すなんて実に幼稚でばかばかしい行為だ。が、そういう馬鹿馬鹿しいことを、エライ人は案外考えるということであり、それができるほどパワーをもつと、実際殺してしまう、そういうモデルケースのようなもんだと思う。

           ところであの暗殺された人はなんでよりによって最後に食ったのが寿司なんだ?と思ったら、向こうじゃ日本食ブームで、あちこちのニュースで取り上げてたのはパリの話だけど、寿司カフェとか寿司バーとか、どこか食い合わせなイメージ漂う飯屋がはやっているらしい。
           というわけで日本が独占していたマグロもあっちこっちで需要が出てきて困っているという構造なんだろうか。それはともかく、この寿司カフェだの寿司バーだのが結構怪しげな食い物を出してるとか。

           いわばO将みたいなもんだろう。知り合いの嫁さんが中国人なのだが、一緒にO将に行ったら、嫁さんは日本料理だと思って食っていたという笑い話がある。別に外国の食い物でなくとも、ちょっと前からあちこちで見かける讃岐うどんを名乗る店も、讃岐うどんとは言いにくい店が多かったりで、食い物というはそういうものなのだろう。

           ただし、向こうの人間が、嘘モンと思って食っているかどうかは気になるところだ。日本人は大抵、どこかの国の料理を標榜する屋に行っても「まあ現地の味は違うんだろうな」と思いながら食ってるものだが、彼らもそうなのだろうか。もし疑いなく食ってるとしたら、確かにジェトロの言うことも一理ある。

          大人だろうに

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              職場内でのいじめについて、たまたま複数の番組で取り上げているのを見る。

             上司の権限をかさにきて部下をいじめるのをパワハラというらしいんだけど、くだらないなあと思う。「部下の根性がない」とか「上司の指導はどこまで許される?」とかいう話ではない。

             上司の指導なのか嫌がらせなのかという線引きは、現場で見れば実はちっとも難しくない。ちゃんと指導、命令できる上司か、馬鹿が暴れてるか、どっちかしかいない。なので、「あんたのやってることはそりゃパワハラっていう間違った行為だよ」と認識させることには意味がある。俺がくだらないなあと思うのは、言葉を作って新しく分類しないと気づかないのか?ってことだ。大人だろうに。

             一方でこどものいじめだとか自殺だとかも続いているけど、「昔はなかった」と堂々とテレビでしゃべってるオッサンがいまだにいるのを目の当たりにして、ああ驚いた。

             昔いじめがなかったら、「いじめ」は多分日本語じゃなくてカタカナ語になってる。スクールハラスメントとか。もっと言うなら、だったら忠臣蔵はありゃ何だとか、こんな陳腐なこと言わせないでほしいものだ。ちなみに実際は吉良さんという人はなかなか立派な人物で、日本の歴史上、最も歪曲された歴史に該当するようである。

             「昔はなかった」という人は、「ガキ大将が止めていた」と話が必ず続く。このおっさんもそうだった。「昔」なんて大雑把な桃源郷に逃げ込んでるうちは、多分効果的な対応策は見出せないだろう。もしかして自分の周りの大人のいじめから目をそらすため、自分たちのためにガキ大将を夢見てるのだろうか。


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