Thunderbird行ったり来たり(4)

0

     ふるさと最寄りの「魅力度ランキングで上位にいそうな都市」に来ていた。地理的には身近だが、来たことは数えるほど。最後に訪れたのは20代の前半だったような気がするから記憶もろくにない。

     

     出張なので駅と仕事場とホテルを往復するだけ、とはいえ、行き帰りのバスは主要エリアを通るからうっすら観光気分にはなる。そしてやはり外国人観光客が多い。アジア系のみならず、英語以外の言葉を話すヨーロッパ系もかなり見かけた。バスは電車に比べてヨソ者にはわかりにくい公共交通だけど、当地は運行会社が2社あって、いずれもホームページの出来がよろしくないこともあり、余計にわかりにくい。外国人ならなおさらだろう。しかしそこはさすが表無の国! 運転手はニコニコと英語で案内していてスムーズなものである。研修受けさせられてんのか、手当はずんでくれよ、と余計なことを案じる。

     

     あるときは、何事か質問してきた白人男性に運転手がシャキーンとポケトークを出してきて、おお!秘密兵器の登場だ!と興奮した。なるほど難しいことを聞かれたときは現代の利器があるのかと頷いていたら、「近くです」⇒「It's near」と、あまり高性能を確認できない簡素なやり取りだった。英語?んなもんこれで済むんだよ、といわんばかりの態度が清々しい。この運転手、ことさら英語が苦手というわけではなさそうで、その後口頭で「歩いて5分くらいですよ」などと英語で伝えていた。だったら最初からポケトークは要らないんじゃないかというのは若い衆の発想で、言葉に詰まるのは日本語でもあること。そのうち「あれやあれ、あれやがな」状態になったとき、日本語⇒日本語のポケトークが出てくるかも、ってサイト検索がすでにその状態だわな。

     

     それにしても、趣深い街並みだ。百万石云々もあるだろうが、これはつまり、爆撃されなかった街ということで、小京都っていうのもつまりはそういうことやんね。市中心部の裏通りにある、なんてことない住宅地なんか京都と本当によく似ている。違いといえば、雪国なので軒がデカいことか。あと、雪国の常、アスファルトが錆び茶けているのは我が地元と同じであるが(融雪装置の錆びが路面に沈着すると思われる)、彼らは同じにされたくないだろうがね。戦前の洋風建築が多いところは台湾とも少々似ている。

     

     せっかく来たので、空き時間を利用して何かをしようと考え、試しに県立図書館の蔵書を確認した。当地にあった第九師団関連の文献は……、お、いくつかあった。
     ということで閲覧に訪れた。城址の周辺が文化ゾーンみたいになっているのはよくあることだが、当地はその度合が群を抜いている。広々としていて緑が多くて、美術館だの博物館だの大小合わせていくつあるんだろうという諸々がゆったりと建っている。このかなり贅沢な配置は、これこそ前田さんちの百万石パワーの名残りだろう。ヒグラシの合奏を聞きながら歩いた。維新の連中が力を持つと、この贅沢な公園緑地にチェーンの飲食とか、芸能事務所と結託したくそしょうもない劇場とかがわいて出ることになるのです全国の有権者の皆さん。


     目的の県立図書館は、懐かしい印象がふんぷんと漂う昭和のコンクリート建築だった。子供のころの図書館は、こんな具合の少々息の詰まる佇まいだった。wikiによれば、全国で4番目に古いだそうだが、むしろ世の図書館はそれだけみんな更新されたんだな。我が地元もそういえば、とっくの昔に新築移転した。こんな古さだと当然5時で閉まりそうなところ8時までやっていて、そこだけ現代風。


    Thunderbird行ったり来たり(3)

    0

      主計町

       

      主計町

       

      主計町

       

      出羽町


      Thunderbird行ったり来たり(2)

      0

        広坂

         

        広坂

         

        尾張町

         

        尾張町

         


        Thunderbird行ったり来たり(1)

        0

          北陸新幹線延伸工事

           

          金沢駅

           

          金沢城

           

          広坂


          本の感想:メディアミックス大塚2冊

          0

             たまたま右を読んでから左を読んだのだけど、順番がちょうどよかった。左を先に読んでいたら、意味が少々わかりづらかった気がする。
             ここでいうメディアミックスは、二次創作を生み出す枠組みのようなものだ。フリー素材になったルパン三世とかドラえもんみたいなものか。キャラクター設定や舞台設定が用意されていて、ストーリーは受け手が自由に考えられる。で、出来たものを何らかの形で公開する、というような一連を指す。


             右の新書でその例として紹介されている「ロードス島戦記」は、当時リアルタイムで雑誌連載を読んでいたから懐かしんだ。ドラゴンクエストなんかのあの手の物語性のあるゲームの大元となったアメリカ産のテーブルゲームを実際にプレイして、その様子を誌上で紹介する連載だった。このテーブルゲームは、ゲームのシステム(ドラゴンクエストで例えると敵と戦うときの仕組み等)だけが決められていて、冒険する洞窟の構造とかそこにどんな敵が待ち構えているかとかは消費者側が自由に考えて遊ぶ。

             

             何千円かの結構いい値段がしたはずだが「中身は自分で考えてね」というのも結構な丸投げ商売である。それでも物語を作るのが好きな俺からすると、とても楽しそうだと思ったものであるが、中学生かそこらでそんな回りくどいゲームを一緒にやりたがる人間などいなかったから購入したところでどうしようもない(なので買ってない)。その俺にはやりようもないゲームを、この雑誌連載では大人がわいわいやっていたから羨望の眼差しで読んだものだった。

             

             ただし、やはりというか、そういう過程で出来上がっている物語には質に限界があるとみえ、割と早く飽きてしまったような記憶がある。それとは対照的に、世の中では一定の地位を獲得し、ノベライズやアニメ、テレビゲームなどの派生商品が生まれていった。そこまで人気が出たのは、おそらく連載時の挿絵が魅力的だったからだと思うが、試しにタイトルで画像検索しても、派生商品のイラストばかり出てきて、元の作家による挿絵は出てこない。これぞつまり、メディアミックスということになるだろう。

             

             著者はこの連載企画の当事者の一人だったから、ここでいうメディアミックスを生み出したという自負があったという。だが、左の書籍のタイトルにある通り、戦前の日本でも同じような行為が行われていた。それも大政翼賛会という統治者の主導の元で。ということを明らかにしていく内容である。

             

             時代とテーマが自分の卒論とうっすらカブっているので、こちらも個人的感慨に浸りながら読んだ。戦中期、漫画家が小説家同様、戦意高揚なんかに加担していったことを含む内容だったのだけど、こんな巧妙なプロパガンダを仕掛けていたことは露知らず、学生の卒論なんてその程度のものといえばそうだけど、当時の俺は何を見てたんだろうと軽く呆れくらいはする。細かい史実を詳らかにしていく趣旨なため、本書も割と論文的な内容だから、そういう点でも自分のを思い出しながら読んだ。

             20年以上前のことを引きずっているようで我ながら気色悪いとも思うが、頑張って書いたんだよ。何ひとつ明らかにしていないくだらない内容だったが、就職活動でかつての小国民だったと思しき役員のおっさんに卒論の内容説明したらやたらと食いついてきて内定くれた、くらいの御利益があったな。辞退したけど。

             

             この本が扱っている「翼賛一家」は、フリー素材のホンワカ漫画といったところか。ただしプロパガンダにつき政治臭は強烈につきまとうわけだが、それとは感じさせないかわいらしい&誰でも真似できる単純なキャラ造形になかなかの狡猾さを感じる。戦中の政権も結構やりよるなあと、新しさのようなものを感じてしまうのは、裏を返せば使い古されているはずの手法がいまだに賞味期限を失っていないといえるわけで、その点、学んでなさ過ぎと反省するしかない。

             

             面白かったのは、昨今どこの自治体でも熱心に取り組んでいる市民協働の原型がこのころ生まれたという話。市民協働とは、市政の諸々に市民にも参加してもらう活動の総称だ。地元のありようを地元民みんなで考えようという美名もありつつ、ボランティア動員によるコストカットの側面もある。学生もその重要なターゲットで、町おこしイベントの手伝いとか、高齢者のサポートとか、防犯とか環境とか分野は多岐に渡る。そういう活動に参加した結果、市役所に就職したいと考えるようになった学生と仕事柄よく関わるので、俺にとっても身近な用語だ。

             

             自らそういう活動に参加している分、頼もしい若人が多いのだけど、協働というコンセプトそのものに表裏一体な危うさがつきまとうのを感じ取るヒネたのはさすがにいない。中には「市民みんなが関心を持つように行政は導くべきだ」くらいのことを書いてくる学生も実際いるから、さすがにそこまで極端な場合は「君それやと全体主義やで」と釘を指すのだけど、そこまででなければふうんと頷くにとどめていた。しかし、単にそういう面があるというだけでなく、過去に実際そういう運用のされ方をしていた事実を踏まえると、多少は何か指摘した方が、バラエティ番組についての後悔を繰り返さないためにも必要なんだろうなと思った。



            calendar

            S M T W T F S
              12345
            6789101112
            13141516171819
            20212223242526
            2728293031  
            << October 2019 >>

            selected entries

            categories

            archives

            recent comment

            • お国自慢
              森下
            • お国自慢
              N.Matsuura
            • 「続く」の続き
              KJ
            • 【映画評】キューブ、キューブ2
              森下
            • 【映画評】キューブ、キューブ2
              名無し
            • W杯与太話4.精神力ということについて
              森下
            • W杯与太話4.精神力ということについて
            • 俺ら河内スタジオ入り
              森下
            • 俺ら河内スタジオ入り
              田中新垣悟
            • 本の宣伝

            recent trackback

            recommend

            links

            profile

            search this site.

            others

            mobile

            qrcode

            powered

            無料ブログ作成サービス JUGEM